2006 Fiscal Year Annual Research Report
江戸時代後期・明治時代における地域市場の歴史学的分析-屎尿流通を中心に-
Project/Area Number |
06J06225
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
荒武 賢一朗 関西大学, 経済学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 江戸時代後期 / 明治時代 / 地域市場 / 屎尿流通 / 都市史 / 都市と周辺農村 / 近世社会 / 大阪 |
Research Abstract |
今年度は、(1)自己の成果を含む研究史の再検討、(2)関係史料の収集・整理・公表、(3)学会報告での成果発表、の3点を中心に研究活動をおこなった。(1)は日本経済史全体のほか、主たる研究対象である大阪の都市史、および周辺農村史に関する先行研究の成果と、今後自身が取り組むべき課題の抽出に努めた。また平成15年度関西大学大学院に提出した博士論文「江戸後期・明治前期大坂地域における流通構造-青物・屎尿流通を中心に-」で展開した学説の内容点検、および今後取り組むべき課題の確認作業を行った。(2)は研究課題に掲げる地域市場に関する史料調査を行った。近隣の所蔵機関では関西大学文学部、大阪大学経済学部、大阪市史編纂所、尼崎市立地域研究史料館など、また遠隔地においては福島県文化センター歴史資料館、学習院大学史料館、一橋大学付属図書館、国立公文書館などで史料閲覧の機会を得た。それぞれ大阪・江戸(東京)・京都に関する江戸時代、明治時代の古文書を整理・複写・解読・データ化の諸作業を行った。その成果の一部として、「大阪宗旨役所触扣」、「浅野隼人家関係文書」を公表している。これらを含め、次年度以降に向けて史料収集活動の基礎を固める活動に終始した。(3)は平成18年7月に開催された第45回近世史サマーセミナーにて「屎尿問題からみた近世社会-流通・環境をめぐる秩序と実態-」と題した口頭報告を行い、日本近世社会においての屎尿取引の実情を流通や環境の側面から論じた。また19年2月には名古屋近世史研究会・同近現代史研究会の合同例会において「近世・近代移行期大坂における商人の動向-『商都』の実像-」と題した口頭報告の機会を得た。ここでは「天下の台所」と称される近世大坂のイメージの再検討、明治維新直後の商人の動向を検討し、新たな都市像の構築を試みた。いずれについても今後雑誌論文として公表する予定である。
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Research Products
(3 results)