Research Abstract |
メソポーラスカーボンは,界面活性剤を鋳型として合成されたメソポーラスシリカを鋳型に,細孔内に炭素源を充填するように有機化合物を炭化することによって,元のシリカの細孔配列と周期性を反映した構造をもって得られる.しかし,シリカ細孔内での炭素化には,ショ糖などの炭素源を濃硫酸で脱水,炭化を繰り返し行う必要,並びにシリカの鋳型をフッ化水素酸で除去する必要があり,合成が多段階にわたりコストと時間がかかる.また,シリカを鋳型に用いる合成方法では,最終的に得られるカーボンの形態制御は困難であると考えられる.本研究では,易分解性高分子Pluronic F127と熱硬化性有機構成成分レゾルシノールおよびフロログルシノールとの複合体形成によるメソポーラスカーボンの薄膜形態制御に取り組んだ.レゾルシノールのみを炭素源とした場合,周期構造は確認されたが,均一薄膜を基板上に塗布することが困難であった.また,フロログルシノールのみを用いた場合では,周期構造のない均一薄膜が得られた.レゾルシノールとフロログルシノールをさまざまなモル比で用いることで周期構造を有する均一薄膜を得ることができた.また,塗布条件ならびに炭化条件によって,数十nmから数百nm程度の均一薄膜を得ることができた.また,反射X線小角散乱法(GISAXS)を用いて,薄膜がFmmm構造を有し、基板に対して(010)配向していることを明らかにした。より高温で炭化処理することにより,周期構造が収縮することを明らかにした.窒素吸脱着等温線は,メソポーラス物質に特有のIV型に分類され,吸/脱着等温線のヒステリシスが確認された.400度で炭化した薄膜の細孔径は3.7nm(DH法)であり,BET比表面積は436m^2/gであった.分離吸着,触媒,エネルギー貯蔵,キャパシターやセンサーなどの電子部品としての応用が期待できる.
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