2006 Fiscal Year Annual Research Report
有機半導体薄膜および関連界面の構造制御による電子物性の解明と応用
Project/Area Number |
06J06349
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山根 宏之 名古屋大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 光電子分光 / 有機半導体 / 電子構造 / 表面・界面 |
Research Abstract |
平成18年度はCu(110)清浄表面にペンタセンの高秩序単層膜を作製し、ペンタセン/Cu(110)界面の電子状態を放射光励起角度分解紫外光電子分光法(SR-ARUPS)で調べた。SR-ARUPSの光電子放出角依存性や面内方位角依存性を精密に調べた結果、(i)強い分子-基板間の相互作用に由来するペンタセンの電子準位分裂や、(ii)基板を介した分子間エネルギーバンド分散関係を明瞭に実測することに成功した。今回得られた電子状態研究の結果から、有機半導体デバイス分野の重要な研究課題の一つである"有機/金属界面に形成される電気二重層の成因"についても一歩踏み込んだ議論が行えるようになった。 また、10〜12月の期間、ルール大学ボッフム校物理化学科(ドイツ)のChristof Woll教授の研究室に滞在し、(iii)各種金属単結晶や金属微傾斜表面の取り扱い、および有機薄膜成長に関する技術を習得してきた。 上記(i),(ii)の成果は本研究の主目的の一つである「新奇電子物性の観測と解明」に強く関連しており、次年度以降は、大阪大学の森川准教授のグループとの共同研究を行い、上記(i),(ii)の成因を追求する予定である。具体的には、上記(iii)の経験を元にペンタセン薄膜とCu(100),Au(110),Au(100)表面およびCu(111),Au(111)微傾斜表面との界面を作製し、その分子配向・配列や電子状態を赤外反射吸収分光法(IRRAS),低速電子線回折法(LEED),(SR-)ARUPS等で調べ、理論計算の結果と併せて実験結果を考察することで上記(i),(ii)の成因解明を目指す。
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