2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J06370
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
野口 泰基 名古屋大学, 医学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 脳磁計(MEG) / 脳波(EEG) / 機能的磁気共鳴画像法(fMRI) / 注意 / 視覚 |
Research Abstract |
交付申請書記載の通り、採用1年目である今年度は方法論の確立に重点を置いた研究を行った。その第一として意識に関わる心理的課題やデバイスの開発を進めた。具体的には本年度8月よりカリフォルニア工科大学へ渡航し、現地の研究者と眼球運動を用いた新しい錯視を考案した。 眼球運動中に視覚刺激を短時間(10ミリ秒ほど)提示すると、その刺激の位置は眼球運動の方向に移動して見える。つまり実際とは異なる位置に刺激が提示されたように見える。この眼球運動錯視は従来から知られていた現象であったが、我々のグループは刺激の位置だけではなく、ざらに形・色といった他の性質も、眼球運動によって変化することを見出した(投稿中)。 これら心理学的な錯視は、物理的に与えられた刺激と、主観的に見えているものが乖離する現象である。よって、物理的な刺激に正直に反応する「無意識的」脳反応と、そこから主観的な感覚(錯覚)を形成する「意識的」脳反応の2種類の脳反応を引き起こす。パラダイムを工夫すれば両者の分離も可能であり、脳磁計・脳波といった脳反応を記録する手法と組み合わせることによって、本研究の目的である「意識的な認知に関わる脳反応」を特定する上で有効な手法となることが予想される。 またこの他、脳磁計(MEG)を使って(1)時間感覚の意識的認知に関わる研究、(2)空間的注意に関わる研究、という2つのイメージング研究も行った。それぞれヒトが視覚刺激の時間的側面に意識を向けたとき、空間的側面に意識を向けたとき、脳の視覚性神経反応にどのような変化が起きるかを調べたものである。前者は出版済(Noguchi Y. and Kakigi R.Cerebral Cortex,16(12),1797-180,2006)、後者は投稿中である。
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Research Products
(3 results)