2006 Fiscal Year Annual Research Report
疎シュタイナー三重系および関連する組合せ構造の性質とその存在の解明
Project/Area Number |
06J06436
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
藤原 祐一郎 名古屋大学, 情報科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 組合せデザイン / シュタイナー三重系 / r-sparse予想 / 内部構造 / 自己同型群 / 周波数ホッピング系列 / スキャンテスト / 組合せ符号 |
Research Abstract |
組合せデザイン論および極値集合論において長年未解決であるr-sparse予想の中で、その存在が予想されている特殊なシュタイナー三重系(以下STS)の存在性を調べ、またそこから得られた知見を通し、情報科学および計算機科学での研究成果を得た。 上述の予想はr-sparseという性質を持つSTSが、自明な必要条件を満たす十分大きな頂点集合上で、3より大きい任意の自然数rに対していつでも存在すると予想している。私や他の研究者の成果により、これまでに5以下のrに対しては、ほとんど全ての場合でr-sparse STSの存在が確認されていた。また6-sparse STSの存在も部分的に知られていた。 これに対し今年度の研究では、可換群が頂点の上に正則に作用するSTSに対しては、13以上の任意の整数rにおいてr-sparse予想が成り立たないことを証明した。またいくつかの類似した有限群の作用においても同様の結果を導いた。これらの結果により、rsparse STSの存在性とその自己同型群を繋げる研究成果が得られた。 またr-sparse STSおよび類似の性質を持つ組合せ構造は、集積回路に代表されるデジタル回路に対するスキャンテストのための、テスト回路設計に有用であることを見出し、現在研究成果を取りまとめている。 このほかSTSの自己同型群は自己補グラフの三角形分割問題にも関係しており、特にこの分割問題はhalvableという性質をもつSTSの存在問題と等価であることが知られていた。今回、halvable STSを含む一般のhalvableシュタイナー2-デザインの存在性を、ブロックの大きさが5以下あるいはメルセンヌ素数の場合において漸近的に証明した。 さらにこれら有限群の推移的作用を調べる中で、周波数ホッピング系列を使ったスペクトラム拡散通信や、符号の同期において有用な組合せ構造の構成法を新たに発見した。
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Research Products
(3 results)