2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ細孔中の新規ヘリウム量子流体における1次元状態の解明
Project/Area Number |
06J06452
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松下 雄樹 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員-DC2
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Keywords | 低次元 / 量子流体 / ヘリウム |
Research Abstract |
1次元量子流体について実験的に調べるために、シリケート基板FSM-16の1次元細孔中に吸着した^4Heの、直径が1nm程度、長さが300nm程度のナノチューブ状と考えられる^4He流体について研究を進めた。この系では素励起が周方向に1K程度のエネルギーギャップを持つため、100mK以下では周方向の素励起数が実質的に無くなり1次元のフォノン励起状態になると考えられる。直径が1.8,2.2,2.8nmの1次元ナノ細孔では温度依存を解析して、フォノン音速とギャップエネルギーの大きさを見積もった。また音速については、吸着圧力のデータ解析からもとめた圧縮率からも音速を見積もり、比熱の見積もりと矛盾が無いことを確認した。これまでの結果についてInternational Symposium on Quantum Fluids and Solids(QFS2006)でポスター発表した。また2.8nmの1次元細孔においては、共同実験者が行った超流動測定と比較して、1次元のフォノン励起状態で超流動がねじれ振り子で観測されたと言うことができる。 また更に低温での測定を目指して、新たに大型の希釈冷凍機を用いたねじれ振り子による超流動と熱容量測定装置を建設した。全体の性能はまだ目標に達してはいないが、2.2nmの1次元細孔基盤において吸着^4Heの熱容量を、比較的精度よく50mKまで測定できるようになった。その結果等を、文部科学省科学研究費補助金特定領域研究「スーパークリーン物質で実現する新しい量子相の物理」平成18年度研究成果報告会でポスター発表した。
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Research Products
(3 results)