2006 Fiscal Year Annual Research Report
直流高電界電子銃による大電流・低エミッタンス・スピン偏極電子ビームの生成
Project/Area Number |
06J06455
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 尚人 名古屋大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 直流型電子銃 / 高電界 / 大電流 / 低エミッタンス / スピン偏極電子 |
Research Abstract |
バルクのGaAs半導体とGaAs半導体の表面(100nm)付近にGaAs-GaAsPの超格子構造を持たせた2つの異なるNEA-GaAs型光陰極に120〜190kVの高電圧を加え生成したスピン偏極電子ビームを用いて初期エミッタンスの測定を行い、結果として原理的に予測される熱振動程度の極低エミッタンス(1.6π.mm.mrad)を得た。さらに2つの光陰極において励起光として用いるレーザ光のエネルギー依存を比べたところ、超格子構造を用いた方が用いないものより初期エミッタンスの増大が低く抑えられていた。これらの結果により我々は極低エミッタンスビームを得るにはNEA-GaAs型陰極を用いることが有効であることを証明し、さら超格子構造型陰極のほうが極低エミッタンスビーム生成優れているということを発見した。 次にNEA-GaAs型光陰極の低エミッタンスに対する優位性を利用し新たな電子源の開発を行った。この電子源は高電界(5MV/m)を印加した光陰極に従来と反対側(背面)から数ミクロンに収束した励起レーザを入射し高い電流密度と高い輝度(低エミッタンス)を持ったスピン偏極電子ビームを生成するものである。この目的で背面透過光励起型光陰極と背面入射光収束のための光学系を新たに取り入れた。その結果、輝度においては4.6x10^5Acm^<-2>sr^<-1>という熱電子源を超える高い値を、偏極度においては従来のレーザ前面照射により65%が得られている。今後、電子源の輝度とスピン偏極度のさらなる性能向上を目指す。また、開発した電子源はすでに実用に耐えうる性能であり、まずは投影型電子顕微鏡(LEEM)に応用しナノサイズ磁区構造の実時間観測を行うべく準備を進めている。
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Research Products
(1 results)