2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J06489
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐分 元 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員-DC2
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Keywords | 脱水的アリルエーテル化 / RDACat / ルテニウム / 2-キノリンカルボン酸 |
Research Abstract |
アリルエーテルは1,3水素移動反応、[3.3]シグマトロピー転位、多量化反応等の有機反応に用いられる重要な物質群である。アリル基の構造の単純性、酸や塩基に対する安定性、遷移金属に対する潜在的高反応性から、ヒドロキシ基の保護体としても注目される。アルコールの効率的アリル化が必要となる理由である。本研究では、当研究室で確立したCpRu/2-キノリンカルボン酸混合触媒によるアリルアルコール類の脱水型触媒的アリル化反応において、以下の項目に焦点を置いて更なる展開をはかる。(a)多官能性有用物質合成への応用、(b)分子間アリル化反応から分子内アリル化反応への展開、(c)触媒的不斉アリル化反応への展開、(d)機構解明研究、を実施し、この新反応の合成的有用性を高める。本年は(d)に関し、触媒探索の課程で得た分子触媒設計のための新たな指導原理「レドックス介在型ドナー・アクセプター二官能性触媒(RDACat)」を提唱、その正当性を詳細に検証した。 速度論実験、速度式解析により、本反応の律速が、アルコールの求核攻撃段階である事が分かった。反応の基質およびルテニウムの濃度に対する次数はそれぞれ0次、1次となる。核磁気共鳴分光実験、X線結晶構造解析から、触媒サイクル中の中間体である、endo-[CpRuIV(π-C_3H_5)(C_9H_6NCOO)]PF_6の、溶液および結晶中での構造を確認した。触媒構造-活性相関、分子軌道計算をもとに、RDACatの正当性を確認した。モノアニオン性三座配位子Cpとσドナー性の高いsp^2N原子がRu(II)に配位して、その求核性が向上する。その他、カルボキシラート配位子の電子非局在化能や、低LUMOエネルギー準位のキノリン骨格が還元的脱離プロセスを円滑化することで循環性獲得に重要な役割を演じていると考えられる。
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Research Products
(3 results)