2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J06492
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高野 晃 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | tRNA / 出芽酵母 / Ssa1 / Ssa2 / 核内輸送 / スプライシング |
Research Abstract |
出芽酵母のtRNAの一部は、イントロンを持っており、このイントロンを持つ前駆体tRNAのスプライシングは不可欠な成熟化過程であり、核内でスプライシング終了後、成熟体tRNAが核外へ輸送され、細胞質にて機能すると考えられてきた。しかし我々は、出芽酵母においてスプライシングが核ではなく細胞質側で起こること、一度細胞質へ出た成熟体tRNAが再び核内へ輸送されることを明らかにした。またこの核内輸送は、エネルギーを必要とすることから、細胞は何らかの目的を持って成熟体tRNAの核内プールを維持していると考えられる。 本研究では、生化学的に、サイトゾルに存在する新規なtRNA結合タンパク質から、tRNA核内輸送因子の同定を試みた。tRNAをその3'末端でアガロースに固定化し、この樹脂に結合するサイトゾル因子を検索したところ、Tef1P(eEF1α)やEno1P(enolase)等の既知のtRNA結合因子に加え、ATP感受性にtRNAに結合する因子としてサイトゾルのHsp70であるSsa1p/Ssa2pが得られた。Ssa1pとSsa2pの各FLAGタグ融合株を作製し、pull-down assayを行ったところ、Ssa2p-FLAGのみtRNAと結合していた。一方、出芽酵母では、アミノ酸飢餓条件下で、核内輸送の昂進によると思われる成熟体tRNAの核内蓄積が報告されている。そこで、Δssa1株及びΔssa2株を作製し、アミノ酸飢餓時のtRNAの局在をFISH法によって観察したところ、Δssa2株においてのみ、tRNA核内輸送が低下していた。Ssa1pとSsa2pはホモロジーが高く、ほぼ同じ働きをしていると考えられてきた。しかし今回、これら二つのタンパクとtRNAとの間の結合能に差がみられ、さらには、アミノ酸飢餓時にこれら二つの破壊株で、tRNAの核内輸送に差が見られたことは非常に興味深い。
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Research Products
(1 results)