2007 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ組織制御による磁束ピンニング点を導入した高温超伝導薄膜の創製
Project/Area Number |
06J06513
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Research Institution | International Superconductivity Technology Center Superconductivity Research Laboratory |
Principal Investigator |
三浦 正志 International Superconductivity Technology Center Superconductivity Research Laboratory, 超電導工学研究所・線材研究開発部, 特別研究員(PD)
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Keywords | ナノ組織制御 / 高温超伝導線材 / 臨界電流密度 / 結晶成長 / 磁束ピンニング点 |
Research Abstract |
REBa_2Cu_3O_y(REBCO)超伝導線材を用いた技術は、地球温暖化緩和策の一つである省エネルギー技術として期待されている。REBCO線材の作製方法の一つにPulsed laser deposition(PLD)法がある。このPLD法を用いて作製したREBCO線材は300m以上の長さで高い臨界電流(I_c)を得ることに成功している。しかし、REBCO線材を電力応用するためには低コスト化が課題である。このためには、材料高収率化、高速成膜化、高臨界電流密度(J_c)化が必要である。そこで本研究では、Reel-to-Reel(RTR)システムPLD法を用いて、超伝導層の高速成膜化、高J_c化を目的としてGdBa_2Cu_3O_y(GdBCO)を超伝導材料として選択し、超伝導線材作製を行った。以下に本研究で得られた成果を示す。 1.超伝導層の高速成膜化 本研究では、RTRシステムPLD法を用いて、超伝導層の高速成膜化の一つの手法としてターゲット-基板間距離(d_<T-S>)を短くすることにより高速成膜化を行った。RTRシステムではプルームの外、内、外といったように組成、成膜速度の異なる場所を移動しながら非定常で超伝導層を成膜する。さらにd_<T-S>を短くすることによりプルーム(プラズマ状態)内での形成となり、さらにプルーム内外での成膜速度が異なる。そこで本研究では、GdBCO超伝導層の成長から過飽和度を見積もり、それを元にRTRシステムにおける移動速度を制御することで、成膜速度を定常に感じるように制御を行った。その結果、1m長1cm幅の線材において従来の成膜速度に比べ3倍の高速化に成功した。 2.超伝導層の高臨界電流密度(J_c)化 RTRシステムではプルームの外、内、外といったように組成の異なる場所を移動しながら非定常で超伝導層を成膜する。このことによりRTRシステムでの組成制御が課題となっていた。そこで本研究では、RTRシステムにおける組成を計算、予測し、用いるGdBCOターゲットの組成を制御した。このことにより、1m長1cm幅の線材においてJ_cは従来の1.8倍の2.6MA/cm^2を得ることに成功した。
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