2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒスチジン骨格を利用した不斉アシル化小分子触媒の設計
Project/Area Number |
06J06525
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小杉 裕士 名古屋大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 求核触媒 / 速度論的光学分割 / ヒスチジン / 不斉アシル化反応 |
Research Abstract |
ヒスチジン骨格を用いた不斉アシル化小分子触媒の設計において、ラセミ体アルコールの速度論的光学分割において高い選択性を達成し、この結果を論文として(J.Am.Chem.Soc.2004,126,12212)に報告している。今回、触媒の水酸基をtert-ブチルジフェニルシリル基か更にかさ高いトリストリメチルシリルシリル基にすることで、選択性がより向上した。この触媒は、アミノ基と水酸基の変換が容易なため、基質によって適した官能基を導入することで高い選択性を得ることが可能だと考えられる。この結果を論文として(Tetrahedron 2007,in press.)に報告した。 本触媒を用いた他の不斉アシル化反応への応用として、ラセミカルボン酸の速度論的光学分割を開発した。カルボン酸からの直接的な速度論的光学分割は酵素ではあるものの、他に例がない。 触媒と水素結合が可能な、α-ヒドロキシカルボン酸の水酸基をN-ピロリジンカルボニルオキシ基に変換したラセミカルボン酸を基質として選ぶことで、3級アルコールのtert-ブチルアルコールとのアシル化反応において高い選択性が得られた(S=31)。 ラセミカルボン酸の速度論的光学分割の基質としては、水酸基を保護したa-ヒドロキシカルボン酸や、アミノ基を保護したa-アミノカルボン酸やアミドカルボン酸等において、高い選択性で速度論的光学分割が可能である。 ラセミカルボン酸を酵素を除いて、直接的、触媒的に速度論的光学分割を行った例は報告されておらず、本反応例が初めてである。触媒とカルボン酸間での水素結合によって、ラセミアルコールの速度論的光学分割と同様に高い選択性が得られることを証明した。
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