2006 Fiscal Year Annual Research Report
多糖誘導体の構造制御を基盤とする次世代型HPLC用キラル充填剤の開発
Project/Area Number |
06J06528
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
井改 知幸 名古屋大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 光学分割 / 多糖誘導体 / 高速液体クロマトグラフィー / キラル / 固定化 / キラル固定相 / 不斉識別 |
Research Abstract |
天然に豊富に存在する光学活性高分子であるセルロースやアミロースのフェニルカルバメート誘導体は高速液体クロマトグラフィー用キラル固定相として優れた光学分割能を示し、医薬品などの光学異性体の分離・分析に広く用いられている。しかし、市販されている多糖誘導体型キラル充填剤のほとんどは、誘導体を担体である多孔性のシリカゲルに物理的に吸着させて調製しているため、多糖誘導体が膨潤・溶解するクロロホルムやテトラヒドロフラン(THF)などのような溶媒を溶離液に用いることはできず、その使用条件が制限されているのが現状である。本研究では、この問題を解決するために、多糖誘導体の側鎖の一部に導入したアルコキシシリル基の加水分解、脱水縮合反応により、高い光学分割能を損なうことなく簡便に多糖誘導体を固定化する方法について検討を行った。 まず、セルロースの水酸基の2%を3-トリエトキシシリルプロピルカルバメート基に、残りの98%を3,5ジメチルフェニルカルバメート基に変換したセルロース誘導体(1)の合成を行った。得られた1をシリカゲルに担持し、酸性条件下で熱処理することで、1の89%をシリカゲル上に固定することができた。同じ溶離液を用いた場合、本固定化法で調製した固定化型充填剤は従来の担持型充填剤に匹敵する高い光学分割能を示すことが明らかとなった。さらに、固定化型充填剤は溶離液にクロロホルムやTHFなどの有機溶媒が含まれる条件下でも使用することが可能であり、特にクロロホルムを用いた場合、いくつかのラセミ体において光学分割結果の改善が確認された。また、他のセルロース誘導体やアミロース誘導体を用いて同様に固定化型キラル充填剤を調製したところ、高い固定化率と光学分割能が達成できた。
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Research Products
(4 results)