2007 Fiscal Year Annual Research Report
多糖誘導体の構造制御を基盤とする次世代型HPLC用キラル充填剤の開発
Project/Area Number |
06J06528
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
井改 知幸 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 光学分割 / 多糖誘導体 / 高速液体クロマトグラフィー / キラル / 固定化 / キラル固定相 / 不斉識別 |
Research Abstract |
天然に豊富に存在する光学活性高分子であるセルロースやアミロースのフェニルカルバメート誘導体は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)用キラル充填剤として優れた光学分割能を示し、医薬品などの光学異性体の分離・分析に広く用いられている。通常、多糖誘導体を固定相に用いたHPLC用キラル充填剤は、担体である多孔性のシリカゲルに対して約20wt%の多糖誘導体を担持あるいは固定化して調製されている。このようなキラル充填剤は、シリカゲル表面上の多糖誘導体しか光学分割に利用できないため、大量分取用キラル充填剤として適しているとはいえない。そこで本研究では、側鎖の一部にアルコキシシリル基を導入したセルロース誘導体とテトラエトキシシランを用いてゾル-ゲル反応により、多糖誘導体の含有率の高い有機-無機ハイブリッドビーズ型キラル充填剤の開発を試みた。 側鎖の2%にトリエトキシシリル基を導入したセルロース3,5-ジメチルフェニルカルバメート誘導体とテトラエトキシシランをテトラヒドロフラン-1-ヘプタノール-水-クロロトリメチルシラン混合溶媒に溶かし、80℃で9時間加熱処理を行った。この溶液を、80℃の界面活性剤水溶液に撹拌しながら滴下し、有機成分が70wt%程度含まれる有機-無機ハイブリッドビーズを調製した。得られたハイブリッドビーズをスラリー法によりカラムに充填し、光学分割能の評価を行った。 同じサイズのカラムに充填した有機無機ハイブリッドビーズ型キラル充填剤と、セルロース3,5-ジメチルフェニルカルバメート誘導体をシリカゲルに固定化して調製される市販のキラル充填剤Chiralpak IBの分取効率を、ラセミ体として2,2,2-トリフルオロ-1-(9-アントリル)エタノ-ルを用いて比較した。その結果、ハイブリッドビーズ型キラル充填剤を用いることで、Chiralpak IBよりも単位時間あたりに得られる光学活性体の量が2.5倍程度増加することが明らかとなった。
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Research Products
(10 results)