2006 Fiscal Year Annual Research Report
分子軌道法による錯体系水素貯蔵材料の基本特性の予測と理論に基づく新規材料の設計
Project/Area Number |
06J06547
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小宮 健嗣 名古屋大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 水素貯蔵 / 錯体水素化物 |
Research Abstract |
本研究では、純度の高いMg(AlH_4)_2をMgCl_2とNaAlH_4とのメタセシス法を用いて合成した。さらに、その脱水素化反応及び再水素化反応についてTiCl_3の触媒効果も合わせて調べた。その結果、Mg(AlH_4)_2は2段階で分解することが分かった。1段目の反応はMgH_2を形成する分解反応であり、2段目の反応は、MgH_2が幾つかのAl合金相へ分解する反応である。また、1〜5mol%のTiCl_3を添加したMg(AlH_4)_2では、それぞれの分解温度が著しく低下した。特に、5mol%のTiCl_3を添加したMg(AlH_4)_2では、室温でミリング中に大半の水素は放出した。1mol%のTiCl_3を添加したMg(AlH_4)_2では,333Kで約3.0mass%の水素を放出した。PCT測定によれば、Mg(AlH_4)_2のプラトー圧は10MPa以上であると予測される。しかし、TiCl_3を添加した試料においても再水素化反応はほとんど確認されなかった。このことより、Mg(AlH_4)_2はLiAlH_4,NaAlH_4,KAlH_4のような他のアラネートに比べ、不安定であることが分かった。従って、合金化することで、さらに安定化することが重要である。 次にMg(AlH_4)_2をLiAlH_4とメカニカルミリングにより混合することで、新たな相が出現し、分解反応経路が変化することを期待した。本研究では、LiMg(AlH_4)_3を実際に合成し、その脱水素化反応について詳細に調べた。その結果、LiMg(AlH_4)_3は3段階で分解し、1段目の分解反応はLiAlH_4あるいはMg(AlH_4)_2よりも低温で開始した。従って、LiMg(AlH_4)_3は最も不安定な水素化物であることが分かった。TG-DTA-MSの測定から、2段目の反応は、LiMgAlH_6→MgH_2+LiH+Al+3/2H_2であることが実験的に初めて確かめられた。また、383K、10MPaの高水素圧力雰囲気においても、1段目及び2段目の反応についても可逆性は認められなかった。上述したように、Mg(AlH_4)_2及びLiMg(AlH_4)_3を合成し、それらの再水素化反応について調べた。しかし、これらの試料では高水素圧力雰囲気においても再水素化反応は確認されなかった。
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Research Products
(3 results)