2006 Fiscal Year Annual Research Report
DNAチップデータを用いたテーラーメイド医療実用化のための患者分類新手法の確立
Project/Area Number |
06J06550
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
高橋 広夫 国立がんセンタ-(研究所及び東病院臨床開発センター), 腫瘍ゲノム解析・情報研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | がん診断 / 遺伝子発現解析 / 診断マーカー |
Research Abstract |
国立がんセンターでは、ミレニアム・ゲノム・プロジェクトで得られたがん患者に関する遺伝子発現情報や一塩基多型(SNP)のデータベースを構築しており、私は、この情報を用いて、がんの治療標的や診断マーカーの同定及び、同定するための手法の開発を目指した。 まず、食道がんの遺伝子発現情報を用いて、食道がんの中でも、特に予後の悪い壁内転移症例(IM)と、その他の症例(non-IM)に関して、遺伝子発現に違いがあるという仮説を立て、新解析手法であるPART-BFCS法で解析を試みたところ、CDK6を含む遺伝子セットを用いることで、適切にIMとnon-IMを診断できることが分かった。遺伝子CDK6は、細胞周期に関連する遺伝子であることから、IMとnon-IMでCDK6の発現に差があるとすれば、予後の違いとして現れるのは、妥当である。このようにPART-BFCS法により、有望なマーカー遺伝子の候補として、遺伝子CDK6を含む遺伝子セットを抽出することが出来た。また、同様に、軟部腫瘍の解析においてPART-BFCS法で解析を行い、診断や治療標的として有用な遺伝子MIFを抽出することが出来た。MIFは、大腸がんでは、治療標的として報告があったが、軟部腫瘍でも、診断マーカーや治療標的になり得ることが、このPART-BFCS法による解析から初めて明らかになった。 次に、抗がん剤に対する患者の薬物応答性(薬剤の効果や副作用)の程度を予測するために、一塩基多型(SNP)情報解析を行った。抗がん剤イリノテカン・5FUを投与した症例のSNP情報に対し、統計的な手法を探索的に用いて、有望な候補SNPを絞り込むことが出来た。 これらのマーカーは、今後、症例数追加によるバリデーションを行うことで、臨床的に有用なマーカーとなるだろう。
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Research Products
(5 results)