2006 Fiscal Year Annual Research Report
水熱鉱化法による廃水中の有害・有価アニオンの無害化と資源回収
Project/Area Number |
06J06615
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
板倉 剛 名古屋大学, 大学院工学研究科, 特別研究員-DC2
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Keywords | 水熱鉱化処理 / 排水 / 無害化 / 資源回収 / アンチモン / ヒ素 / ホウ素 |
Research Abstract |
特別研究員採用前の研究で、水酸化カルシウムを用いた水熱鉱化処理により、水溶液中に含まれるホウ酸およびホウフッ化物イオンを、水酸化カルシウムを鉱化剤として用いた水熱鉱化処理により天然鉱物として沈殿、回収できることを明らかにした。そこで、本水熱鉱化処理の適用可能イオン種を拡大するために、3価のヒ素を含む亜ヒ酸、5価のヒ素を含むヒ酸イオンおよび5価のアンチモンを含むアンチモン酸イオンを含有するモデル排水に対して同様の処理を施した。この結果、ヒ酸イオンおよびアンチモン酸イオンについては容易に沈殿生成が可能であり、6-12hの処理で水溶液中のヒ素およびアンチモンをそれぞれCa_5(AsO_4)_3(OH)、Ca_2Sb_2O_5として沈殿、除去できた。3価のヒ素を含む亜ヒ酸イオンについては、酸化剤として過酸化水素を添加することで、水溶液中の亜ヒ酸イオンをヒ酸イオンへと酸化すると同時に鉱化が可能であり、水溶液中のヒ素をCa_5(AsO_4)_3(OH)として沈殿回収できることが明らかとなった。また、処理効率のさらなる向上のため、水熱平衡下において固液分離が可能な水熱処理装置を試作し、5-3000mg/Lのホウ酸イオンを含有するモデル排水に対して水熱鉱化処理を施した。その結果、水溶液中の含まれるホウ素の初期濃度にかかわらず、比較的短時間(1-2h)の処理で水溶液中のホウ素濃度を排水基準値以下にまで低減することに成功した。この結果は、処理後のホウ素濃度が生成鉱物の水熱条件下における溶解度にのみ依存しており、水熱平衡下における固液分離はバッチ式の耐圧容器を用いた処理では不可避であった生成鉱物の再溶解をほぼ完全に回避できることが明らかになった。従って、再溶解防止剤の添加が不要である。以上より、本水熱鉱化処理法は初期濃度にかかわらず非常に多様な有害オキソアニオンを含む排水の無害化およびイオンの再資源化が可能であり、今後流通系処理装置の設計などにより、さらなる処理効率の向上を見込むことができる。
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Research Products
(4 results)