2007 Fiscal Year Annual Research Report
心の理論における他者の再帰的推測に関する構成論的手法に基づく検討とその工学的応用
Project/Area Number |
06J06628
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高野 雅典 Nagoya University, 大学院・情報科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 心の理論 / エージェントベースモデリング / 再帰的推測 / コミュニケーショ / ゲーム理論 |
Research Abstract |
他者の心の状態を推測できる個体は「心の理論」を持つと言われる.心の理論は社会的知能の基盤を形成すると考えられており,社会環境への適応進化の結果,生じたと考えられる.その進化ダイナミクスは個体の置かれる社会環境によって影響を受けるであろう.我々は心の理論の重要な側面として次の点に焦点を当て,それの進化に環境が与える影響に関して構成論的手法を用いて検討を行った. ・意図の表出と認識の共進化に基づくコミュニケーションの基盤の成立 社会的環境において互いの意図を理解することが両者にとって有益な場合,相手の意図を読むこと(mind-reading)と,それを前提とした他者の操作(manipulation)の共進化に基づいた,意図理解の手がかり(例えば表情,仕草など)を媒体としたコミュニケーションが進化することが考えられる.ただし,このときの利得に偏りがあり公平でない場合,コミュニケーションは進化しづらいであろう.意図を示すシグナルの進化における利得の偏り度の影響について検討するために,「交渉をしてゲームをプレイ」という枠組みでモデル化し,進化シミュレーションを行った.その結果,譲る合図を示すタイミングで調停する「収束型」と,両者のシグナルの共振で調停する「振動型」という興味深い2つのコミュニケーションの型が創発した.さらに,それらのコミュニケーションを明らかにするために情報量などの指標を用いて分析した.
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Research Products
(2 results)