2006 Fiscal Year Annual Research Report
系外原始惑星円盤の高解像撮像による惑星形成過程の解明
Project/Area Number |
06J06649
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松尾 太郎 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 遠赤外線干渉計 / 系外惑星 / コロナグラフ / 干渉光学 |
Research Abstract |
私は、惑星形成過程の解明、そして地球型惑星の直接検出を目的として、以下に記述する4つの内容にわたり研究を行なっている。 1、気球搭載型の遠赤外線干渉計(以下、FITE : Far-Infrared Interferometric Telescope Experiment)プロジェクトの開発である。FITEは、2007年度冬に打ち上げが予定されている。これまで、干渉光学系の設計、開発を中心に携わってきた。現在、フライト品の設計、評価を行なっている。FITE開発で蓄積された要素技術は、地球型惑星の直接検出だけでなく、今後の気球観測の進展に大いに貢献すると考えられる。 2、惑星形成過程の解明を目的として、これまでに検出された200以上の系外惑星がコア・アクリーション、あるいは、ディスク不安定のどちらの過程により形成されているかを金属量と惑星質量の観点に着目し、議論を行なったことである。この研究により、90%程度の惑星が前者の過程により、その残りの10%程度が後者の過程により形成されていることを観測的に示した。本研究は、ApJに出版される予定である。 3、FITEが採用するマイケルソン天体干渉計のための新しい測定方式を考案し、その方式を実証したことである。従来、天体干渉計により像を再生するには、それぞれの基線長で遅延線を変化させる必要がある。今回提案した新方式は、遅延線なしで像を再生することが可能である。また、分光光学系を導入すれば、視野は大幅に改善されうることを理論的、実験的に示した。従って、この方式は、従来の方式に比べ、観測時間を大幅に減少することが可能であり、非常に有用であると考えられる。これは、天文学の分野だけでなく、他分野への幅広い応用が期待される。本研究は、論文としてApJに投稿するために執筆の準備を進めている。 4、NASAが計画している気球搭載型のTPF (Terrestrial Planet Finder)プロジェクトの研究開発である。2006年12月から2007年3月までの3ヶ月間、すばる望遠鏡に滞在し、Olivier GuyonとTPFのためのコロナグラフの開発を行なった。気球高度35kmの環境下で、大気の乱流により生じた波面の乱れが、高コントラスト装置であるコロナグラフに対し、どの程度コントラストを低下させうるかを評価した。
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Research Products
(1 results)