2006 Fiscal Year Annual Research Report
ホリゾンタル対称性と例外群を用いた超対称大統一理論の研究
Project/Area Number |
06J06654
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
桜井 一樹 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ホリゾンタル対称性 / 超対称性 / E6大統一模型 / 弱階層性問題 / LEP実験 / b→sγ過程 / μ→eγ及びτ→μγ / 終状態レプトンの角分布 |
Research Abstract |
本研究の目標はホリゾンタル対称性をもつ超対称大統一理論(特にE6大統一模型)が、近い将来の実験においてどのように検証されうるかについて議論することである。そのためにまず次ページに示した論文において、この模型が(まだ一般の超対称標準模型)が含んでいる弱階層性問題と呼ばれる問題について取り組んだ。この問題は「標準模型のヒッグスボソンが114GeV以下にない」というLEP実験の結果を超対称標準模型のヒッグスに適用すると、超対称性の破れのパラメータのスケールは電弱スケールよりかなり大きくなってしまい、理論のパラメータの間に不自然な微調整が必要になるという問題である。論文の中で私は、ヒッグスセクターに関する全てのパラメータが電弱スケール程度にある場合には、超対称標準模型の最も軽いヒッグスボソンとZボソンとの結合定数が十分小さくなりえて、このヒッグスが114GeV以下であっても、LEP実験と矛盾しない可能性を指摘した。ヒッグスセクターの全てのパラメータが電弱スケールにある場合には、荷電ヒッグズが比較的軽い質量を持つため、b→sγ過程の実験と標準模型の一致を壊してしまう可能性がある。そこで私は、弱階層性問題が解決されているパラメータ領域において、b→sγ過程の解析を行った。その結果、b→sγへの荷電ヒッグスの寄与はチャージーノの寄与と相殺されていることがわかった。これは超対称性の破れめパラメータが全て同じスケールにあるため、これらの寄与がほぼ同じ大きさになるためである。 本研究ではまた、上の模型におけるμ→eγ及びτ→μγの解析を行った。解析の結果、これらの過程が近い将来の実験で観測可能なパラメータ領域が存在すること、また、終状態レプトンの角分布を測定することにより、この模型の特徴を検証できる可能性があることがわかった。この研究は現在Physical Review Dに投稿中である。
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