2008 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアタンパク質の輸送における仕分けの仕組みの解析
Project/Area Number |
06J06662
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山野 晃史 Nagoya University, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ミトコンドリアタンパク質 / 膜透過反応 / トランスロケータ |
Research Abstract |
ミトコンドリア外膜にはβバレル構造をもつ膜タンパク質が存在する。βバレル型膜タンパク質はすべて核のDNAによってコードされているため、サイトゾルで合成された後、ミトコンドリア外膜に正しいトポロジーで挿入され、機能すべきタンパク質複合体へとアセンブリーすると考えられる。出芽酵母ミトコンドリアの外膜に存在するTOB複合体と呼ばれるタンパク質複合体はβバレル型膜タンパク質の組み込みに必須である。近年、ミトコンドリア形態を維持するタンパク質がTOB複合体のサブユニットであることが見出されたが、その分子機構は全く不明であった。そこでまず、Mdm10のミトコンドリア局在化シグナルとして重要であると考えられるアミノ酸をアラニンに置換したMdm10変異体シリーズを作成した。その酵母株から単離したシトコンドリアを用いた解析から期待通り、変異Mdm10はミトコンドリアにほとんど存在しないことがわかった。この単離ミトコンドリアを利用しMdm10が減少すると、βバレルタンパク質はTOB複合体との輸送中間体として停留し、外膜に組み込まれなくなることを見出した。また、TOB複合体にはMdm10を含まないコア複合体とMdm10を含むホロ複合体の2つの状態が存在するが、Mdm10を過剰発現させるとコア複合体とホロ複合体の量的平衡が変化し、βバレルタンパク質の組み込みが特異的に阻害されることを見出した。さらにβバレルタンパク質とTOB複合体との輸送中間体にはMdm10は含まれないことがわかった。これらの結果はMdm10がβバレル膜タンパク質のアセンブリ過程をモニターする品質管理機能を備えていることを強く示唆している。
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