2007 Fiscal Year Annual Research Report
ケイ素を含むパイ共役電子系の構造修飾による機能開拓
Project/Area Number |
06J06666
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山田 洋 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ラダ-型π電子系 / 固定構造修飾 / ケイ素 / ホスホニウム / ボレート / 双極性架橋 / オリゴ(p-フェニレンビニレン) / カスケード環化反応 |
Research Abstract |
ラダー型π電子系は,強固で平面性の高い骨格に由来して,強い発光や高い電荷輸送性といった物性が期待できる この骨格の固体状態での物性制御には,典型元素の利用等による電子構造の修飾,および置換基による固体構造の修飾の2つが重要である. 本研究においてこれまで,固体構造の修飾に焦点を当て,架橋元素としてケイ素を用いたラダー型π電子系の固体状態での構造・配向の制御について検討してきた.その結果,π平面の上下に位置する置換基ヘアルキル基を導入した誘導体が,結晶状態でアルキル基間の疎水的相互作用によりπ平面が等間隔に並んだ構造体を形成すること,およびこの分子配向の制御が光物性に影響を及ぼすことを見いだしている. 本年度は,電子構造の修飾と固体構造の修飾の両方を可能にする新規π電子系の創製を目的として,ホスホニウムおよびボレートで架橋した双極性架橋オリゴ(p-フェニレンビニレン)を設計した.このπ電子系は,双極性架橋による特徴的な電子構造に由来する特異な物性が期待でき,かつホスホニウムおよびボレート上の置換基による固体構造の修飾を行うことのできる骨格である.実際に,この骨格の合成について検討したところ,リンおよびホウ素置換基を導入したジフェニルアセチレン誘導体からのカスケード環化反応により,双極性架橋スチルベンが得られることがわかった.さらにこの環化反応は,ジスチリルベンゼンの長さまでπ共役を拡張したものやチオフェン縮環したものにも適用できることがわかった,また,得られた一連の双極性架橋ラダー型π電子系は,長波長シフトした発光等の双極性架橋に由来する特異な物性を有していることが明らかとなった. 今後は,この双極性架橋ラダー型π電子系について,構造修飾による固体状態での新規な物性・機能の開拓について検討していく予定である.
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Research Products
(6 results)