2006 Fiscal Year Annual Research Report
ケイ素を含むパイ共役電子系の構造修飾による機能開拓
Project/Area Number |
06J06666
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山田 洋 名古屋大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ケイ素 / ラダー型π電子系 / 構造特性 / 構造・配向の制御 / アルキル鎖 / パッキング構造 / 疎水的相互作用 / 自己組織化構造 |
Research Abstract |
ケイ素架橋ラダー型π電子系は,架橋元素上の置換基がπ平面の上下に位置するという構造的特徴を有している.本研究は,この構造特性を利用し,この骨格の固体状態での構造・配向を制御することにより,新規な物性・機能を有する構造体を構築することを目的としている.例えば,置換基としてアルキル基を導入し,アルキル鎖間の疎水的相互作用を利用して自己組織化させることにより,特異な機能を有する構造体の構築が可能になると考えられる.本年度は,標的化合物としてアルキル基を導入したケイ素・炭素架橋ビス(スチリル)ベンゼンおよびケイ素架橋スチルベン三量体を設計し,その固体状態での構造・配向の制御について検討した. プロピル基置換ケイ素・炭素架橋ビス(スチリル)ベンゼンおよびヘキシル基置換ケイ素架橋スチルベン三量体を新たに合成しX線結晶構造解析を行ったところ,期待した通りプロピル基あるいはヘキシル基がπ平面に対し垂直方向に立った立体配座をとっていることがわかった.さらに,ヘキシル基置換ケイ素架橋スチルベン三量体については,ヘキシル基同士の分子間疎水的相互作用により,π平面が等間隔に並んだ自己組織化構造を形成することが明らかとなった.また,プロピル基置換ケイ素・炭素架橋ビス(スチリル)ベンゼンについても,プロピル基が垂直方向に立つことにより,分子の長軸方向のそろったパッキング構造を形成することがわかった. 今後は,より構造の制御された構造体の構築を目指して,π電子系の上下で異なる置換基を有する非対称置換ケイ素架橋ラダー型π電子系を設計し,その合成および固体状態での構造・物性について検討を行う.また,この非対称置換ケイ素ラダー型π電子系はケイ素上に不斉中心を有するため,効率的な光学分割の手法の検討も併せて行う.
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