2006 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属触媒による還元過程を起点とした高効率不斉触媒反応の探索
Project/Area Number |
06J06681
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
塩見 拓史 名古屋大学, 大学院工学研究科, 特別研究員DC1
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Keywords | 不斉触媒 / 不斉還元 / 遷移金属 / アルドール / ヒドロシリル化 / ロジウム |
Research Abstract |
1.光学活性な遷移金属触媒および還元剤としてヒドロシランを用いてα,β-不飽和エステルを還元しながらエノラートを発生させ、アルデヒドと反応させる触媒的不斉還元アルドール反応において、新規に合成したビスオキサゾリニルフェニル骨格を有するピンサー型錯体PHEBOX-イリジウムの性能を検討した。その結果、ロジウム錯体と比較して触媒能は低いものの同程度の高いエナンチオ選択性が発現した。また、反応温度を上げることで生成物の収率が向上することが分かった。また、イリジウム錯体のX線結晶解析にも成功した。 2.触媒的不斉還元アルドール反応において、PHEBOX骨格を有するロジウム錯体触媒上の、金属中心に対して遠隔位にある置換基による電子的な効果を調べた。その結果、電子吸引性の置換基を有する錯体触媒ほど生成物のエナンチオ選択性が高い傾向にあることを見出した。これは、X線構造解析および理論計算の結果から、電子吸引基を有する錯体触媒では短いロジウム-炭素結合により、金属中心近傍の不斉空間がより高度になっているためと推察された。理論計算の結果もよい相関性を示した。 3.PHEBOX-Rh錯体触媒を用いる触媒的不斉還元アルドール反応によって、光学活性な3級アルコール誘導体の合成、すなわち、反応性の低いケトンを受容体として用いて検討した。その結果、反応条件を無溶媒下とし適切なヒドロシランを選択することでカップリング効率が向上することを見出し、98%に達する高い収率とエナンチオ選択性で目的物を得ることに成功した。本反応では受容体として、脂肪族、芳香族、対称および非対称ケトンを用いることができ、その適用範囲の広さを示した。 以上、還元過程を起点とした連続的炭素炭素結合生成反応に成功し、高いエナンチオ選択性を達成することができた。今後、さらに様々な基質の適用範囲を検討し総合的展開を目指す。
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Research Products
(3 results)