2008 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属触媒による還元過程を起点とした高効率不斉触媒反応の探索
Project/Area Number |
06J06681
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
塩見 拓史 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 不斉触媒 / 不斉還元 / 遷移金属 / アルドール / ヒドロシリル化 / ロジウム |
Research Abstract |
1.共役エノンとアルデヒドの触媒的不斉還元的アルドール反応の開発:光学活性なビスオキサゾリニルフェニルPHEBOX骨格を有するロジウム錯体Rh(phebox)(OAc)_2(H_2O)を触媒とするヒドロシランを用いる共役エノンとアルデヒドのエナンチオ選択的な還元的カップリング反応の開発をおこなった。すなわち、還元過程を起点として形成させたケトン由来のエノラートをアルドール反応に適用した。検討した結果、高い立体選択性および収率を伴って所望のアルドール体が得られることを見出した。この分野に関して最近、シン選択的な不斉反応が報告されたが、本反応ははじめての高アンチ選択的に進行する例であるため有機合成分野の発展に寄与するものであると考えられる。また、通常のアルドール反応では位置選択性の獲得が困難である複数のエノール化可能部位が存在する反応系においても共役エノンの不飽和結合部位に位置特異的な反応が高立体選択的に進行することがわかった。2.ジボロンを用いるα,β-不飽和カルボニル化合物の触媒的不斉β位ホウ素化反応の開発:Rh(phebox)(OAc)_2(H_2O)を触媒とするジボロンを用いるα,β-不飽和カルボニル化合物のエナンチオ選択的な共役ホウ素化反応の開発を検討した。その結果、ロジウム錯体上の塩基性配位子の選択が反応速度に大きく影響することが明らかとなった。本反応はα,β-不飽和エステル、ケトン、アミドに関して立体選択的に進行することを見出した。この結果は、これまでに開発された触媒的不斉β位ホウ素化反応の基質の適用範囲がα,β-不飽和エステル、ニトリル、アルデヒドに限られていたことから意義があると考えられる。また、本触媒が既報のβ位ホウ素化触媒のなかで最も高い触媒効率を示すことがわかった。くわえて、本触媒系はこれまでほとんど研究されてこなかった三価のロジウム種を用いるσ結合メタセシスの化学を拓くものであると考えられる。
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Research Products
(1 results)