2006 Fiscal Year Annual Research Report
人工らせん高分子からなる剛直主鎖型コレステリック液晶の創製とその不斉場の応用
Project/Area Number |
06J06683
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
永井 寛嗣 名古屋大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ポリフェニルイソシアニド誘導体 / 誘起らせん / 誘起円二色性 / 記憶 / コレステリック液晶 / X線回折測定 / リビング重合 / スメクチック液晶 |
Research Abstract |
側鎖にカルボキシル基を有するポリフェニルイソシアニド誘導体は、光学活性なアミン存在下、水中で一方向巻きに片寄ったらせん構造を形成し、ポリマー主鎖のイミノメチレン領域に強い誘起円二色性(CD)を示す。さらに、水中で誘起されたらせん構造は、光学活性アミンを完全に除去後も記憶として保持される。本研究では、このらせん構造について詳細な知見を得るために、ライオトロピック液晶性を示す高分子量のポリフェニルイソシアニド誘導体を合成し、液晶状態から配向フィルムを調整し、そのX線回折測定を行った。その結果、分子間距離とらせん周期に由来する明確な回折像を得ることに成功した。また、らせん構造を誘起前のポリマーからも同様の配向フィルムを調製し、X線回折測定を行ったところ、らせん周期に由来する層線周期に有意な差が見られた。X線回折測定の結果および密度測定の結果から、らせん構造を記憶したポリマーの構造は10モノマーユニットで3回転する10/3らせん構造である可能性が高いことが明らかになった。 また、側鎖にL-アラニン残基を有する光学活性なフェニルイソシアニド誘導体を白金-パラジウム錯体を用いて重合することにより、狭い分子量分布(M_w/M_n<1.2)を有するポリフェニルイソシアニド誘導体を合成した。得られたポリマーの濃厚クロロホルム溶液中での偏光顕微鏡観察より、スメクチック液晶に特徴的なファンテクスチャーが観察された。さらに、このポリマーの末端金属を除去した後、配向フィルムを調製し、小角X線散乱測定を行った。その結果、スメクチック液晶の層構造に由来する回折ピークが、分子間距離に由来する回折ピークと直交方向に観察された。すなわち、このポリマーは濃厚クロロホルム溶液中、スメクチックA相を形成している可能性が高いことが示唆された。
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Research Products
(1 results)