2007 Fiscal Year Annual Research Report
微少領域において【微生物吸着挙動制御】を実現する材料表面の構築
Project/Area Number |
06J06690
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
稗田 純子 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 特別研究員-DC1
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Keywords | 微生物 / 吸着 / 表面修飾 / フォトリソグラフィー / マイクロパターン |
Research Abstract |
I.はじめにバイオテクノロジー関連の分野において、近年、微生物の働きを利用した材料・プロセスに関心が集まっている。微生物の材料への固定化や小型チップによる分析等の実現には、微生物の材料表面への付着性が重要となってくる。そのため、微生物/材料界面に関する知見を得ることが不可欠である。前年度に得られた位置選択的吸着による細胞のマイクロパターン化についての知見を生かし、本年度は表面の微細構造および化学的構造が異なる超はっ水、超親水表面を用いて、微生物・材料界面の相互作用を調査した。さらに、小型チップや細胞アレイを作製する際重要となる、細菌細胞の位置選択的配置を超はっ水/超親水マイクロパターンを用いて試みた。 II.実験方法マイクロ波プラズマCVD法を用いて、ガラス基板上に超はっ水膜を成膜後、真空紫外光リソグラフィーにより、超はっ水/超親水マイクロパターンを作製した。作製した超はっ水/超親水マイクロパターンを、細菌細胞を含んだ液体培地中に24時間浸潰させることにより、細菌細胞の付着性を調査した。細菌細胞としては、大腸菌、枯草菌、土壌菌、緑膿菌の4種類を使用した。浸漬後、位相差顕微鏡を用いた観察により、細菌細胞の付着性評価を行った。 III.結果および考察大腸菌および枯草菌は、超はっ水/超親水マイクロパターン中の超はっ水領域に選択的に吸着した。また、パターン幅が10μm幅の微小領域においても、超はっ水領域にのみ選択的に吸着させることに成功した、一方、土壌菌、緑膿菌は、超はっ水領域と超親水領域双方に付着し、選択性は見られなかった。これらの結果より、微生物の細胞は負のチャージを持つため、超はっ水領域の方が細菌細胞との静電的反発が小さくなり、選択的に吸着したと考えられる。また、異なる細菌を用いた付着性評価の結果から、微生物の種類による細胞表面電位や吸着速度の違いを利用した吸着挙動制御が可能であることが示唆された。
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