2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J06739
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
今尾 浩士 独立行政法人理化学研究所, 中央研究所, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 反水素 / 反陽子 / エキゾチック原子 |
Research Abstract |
超低速反水素原子ビームに必要な装置群、その中でも特に重要な反陽子検出系の研究・開発を行った。反陽子の検出には位置分解能のあるマイクロチャネルプレート(MCP)検出器を使用した。また、反陽子崩壊パイオンの検出器としては大立体角を覆うシンチレータ検出器、及びファイバー検出器を新規に設計・製作した。これらの検出器の設計・開発にあたってGeant4を用いた詳細なシミュレーションを行って最適化した。また、早いレートでDC的にやってくる反陽子シグナルを数え落とさないために、PC-LINUXベースのデータ収集系の開発を行った。これらの検出系を用いて、CERNの超低速反陽子ビーム(E<250eV)を使って、実際にデータ収集を行った。当初の見積り通りに反陽子シグナルを捕らえる事ができ、興味深いデータを得る事ができた。MCPにおける反陽子のデータ中で、通常の電子やイオンの検出にはない、様々な時定数を持って増減する背景シグナルが見出された。特に数時間以上の長い時定数を持った成分はMCP上での「放射性物質の生成」が原因であると考えられ、反陽子検出特有の現象として興味深い。また反陽子入射から極めて即発的(<200ns)に起こる成分もあり、反陽子検出において、従来MCPで行われていた計数測定的な使用法でなくカロリメータ的な使用法が可能となる事が分かった。この特性は反陽子以外の電子イベント等との弁別能力を大幅に改善できるため、今後の反陽子原子生成及び反水素分光実験において大変有用である。
|