2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J06749
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
奥野 敦朗 独立行政法人理化学研究所, 松本分子昆虫学研究室, 特別研究員(PD)
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Keywords | エビ / ホルモン / 性分化 |
Research Abstract |
水産増養殖対象種として重要な甲殻類十脚目であるエビ・カニ類では、雌雄によって市場価値が異なるため、その性制御に関する研究は増養殖技術の確立と育種にとって極めて重要である。甲殻類では造雄腺と呼ばれる雄のみに存在する独立した組織から分泌されるペプチドホルモン、すなわち造雄腺ホルモンによって雄へと分化している。これまで甲殻類等脚目のオカダンゴムシの造雄腺ホルモンが二本鎖糖ペプチドであることが知られている。これまでダンゴムシの造雄腺ホルモン配列の相同性からエビ・カニ類の造雄腺ホルモンを探索してきたが発見できなかった。そこで新たに生物検定法を確立し、クルマエビの造雄腺ホルモンの単離と構造解析を行い、ホルモンの機能解析を目的に実験を行った。新たに生物検定法を確立するため、脊椎動物の生殖細胞で性特異的に発現しているnanos, piwi遺伝子、両性で発現しているvasa遺伝子のクルマエビホモログの単離を行い、これらの遺伝子発現を指標に生物検定法として利用できるか調べた。縮重プライマーを用いたRT-PCRの結果、卵巣cDNAから遺伝子の一部を増幅することができ、RACE-PCR法を用いて全長を解析した。それぞれの配列は進化的に高く保存されコンセンサス配列を含んでいた。しかし、RT-PCR法で組織特異的発現を調べたところvasa遺伝子だけでなく、nanos, piwi両遺伝子も卵巣及び精巣で発現していることが確認された。それぞれをGST融合組み換えタンパク質を発現させ、リボホモポリマー樹脂への結合能を調べたところvasaはポリA-RNAとnanos及びpiwiはポリG-RNAと結合した。発現パターンとRNA結合能からvasa, nanos, piwiはクルマエビ相同ホモログだと考えられるが性特異的に発現していないため造雄腺ホルモン生物検定系には不適切だと考えられた。
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