2006 Fiscal Year Annual Research Report
統計的アプローチによる神経可塑性の機能の解明に関する研究
Project/Area Number |
06J06772
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
豊泉 太郎 独立行政法人理化学研究所, 甘利研究ユニット, 特別研究員(PD)
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Keywords | フィッシャー情報量 / 発火時刻 / 発火率 / シナプス可塑性 |
Research Abstract |
個々の神経細胞が活動は多くのノイズが含まれていることが知られている。このような信頼性の低い素子を多数用いて、どの程度精密な情報表現ができるかを評価することは重要な問題である。本研究では感覚刺激を受け活動電位を発する(発火する)神経細胞集団をモデル化し、この神経細胞集団からの活動電位を記録した場合にどの程度の精度で、感覚刺激を推定できるかをフィッシャー情報量を用いて定量的に解析した。とくに、活動電位の発火率に含まれる情報量と発火時刻に含まれる情報量を評価することで、神経細胞の応答曲線がこれらの情報量に与える影響を見積もった。本研究により定常刺激の推定を行う場合でも、神経細胞がシナプス結合を通して断続的に相互作用を行う場合には、発火時刻から得られる情報量が刺激の推定精度に大きな寄与を与えることを示した。また、互いに相互作用する神経細胞集団が時間空間的な感覚刺激を受けるときに、どのような神経細胞間の結合を仮定したら最適に感覚刺激を表現できるのかをフィッシャー情報量を用いて導出し、最適なシナプス結合を入力刺激、神経細胞の応答関数、推定するパラメータの関数として表した。近年では、神経細胞の発火時刻に依存してシナプスが動的に変化するシナプス可塑性が生理実験により報告されているが、本研究では発火情報の信頼性を最適化する学習則が、これらの実験的に観測されたシナプス可塑性と類似の性質を示すことを明らかにし、神経細胞の応答特性が最適シナプス学習則に与える影響を計算した。
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Research Products
(3 results)