2007 Fiscal Year Annual Research Report
視床における能動的情報処理機能の神経回路網による数理モデル化
Project/Area Number |
06J06774
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
大森 敏明 The Institute of Physical and Chemical Research, 甘利研究ユニット, 特別研究員(PD)
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Keywords | 樹状突起 / 膜電位の時空間分布 / 位相応答曲線 / ベイズ推定 / 海馬CAI錐体細胞 / カルマンフィルタ / 計算論的神経科学 / 理論神経科学 |
Research Abstract |
本研究の二年度目に当たる今年度は,単一神経細胞と局所回路の関係性を解明することを目標として研究を遂行した.まず,樹状突起における膜電位の時空間分布を推定するための統計的アルゴリズムの開発を行った.生理実験では樹状突起の膜電位を部分的にしか観測できないが,単一神経細胞の情報処理を理解する上で,膜電位の測定値から樹状突起全体の膜電位の推定を行う提案手法の考案が重要である.本研究では,カルマンフィルタを用いた膜電位の推定方法を提案し,数値実験のデータを提案アルゴリズムに適用することより.提案手法が有効であることを確認した.この研究の内容は,日本物理学会第63回年次大会と電子情報通信学会ニューロコンピューティング研究会で発表し,技術研究報告で公表した.さらに,単一神経細胞と局所回路網の関係性を明らかにするために,スパイク応答モデルの位相応答曲線を解析的に導出し,位相応答曲線の線形成分,非線形成分と単一細胞の応答特性の関係性を明らかにした.本研究の成果は,日本物理学会第63回年次大会と電子情報通信学会ニューロコンピューティング研究会で公表し,技術研究報告で公表した.さらに,膜特性の不均一性を持つコンパートメントモデルを用いた理論研究を行い,海馬CA1錐体細胞に対して嗅内野入力が与えられた場合の細胞体膜電位への寄与が,樹状突起における膜特性の不均一性によって向上することを理論的に示した.この成果は第30回日本神経科学大会(英語口頭発表),北米神経科学学会で公表した.
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Research Products
(14 results)