2006 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変マウスを用いた嗅覚の匂い情報処理機構の解析
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06J06779
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
堅田 明子 独立行政法人理化学研究所, シナプス分子機構研究チーム, 特別研究員(PD)
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Keywords | 嗅覚受容体 / 匂い / GPCR / 分子認識 / 遺伝子改変マウス / 神経回路の可視化 / β-ガラクトシダーゼ / WGA |
Research Abstract |
匂い物質は、嗅神経細胞に発現する嗅覚受容体によって認識され、神経軸索の投射先である嗅球で創成される神経発火パターンの違いにより識別される。研究代表者らはこれまでに、嗅覚受容体を培養細胞で機能的に発現させることに成功しており、世界に先駆けて嗅覚受容体のリガンド構造活性相関、アンタゴニストの同定、リガンド結合部位の解明などを行っている。採用初年度である本年は、これまでに得られている培養細胞レベルにおける知見を発展させ、匂い認識の分子メカニズムを組織・個体レベルで解明するべく、特定の嗅覚受容体を発現する嗅神経細胞のみを選択的に可視化した遺伝子改変マウスの作製を試みた。 自身が生化学的解析を進めたマウス嗅覚受容体;mOR-EGに注目し、mOR-EG発現嗅神経細胞を緑色蛍光タンパク質(GFP)により可視化したトランスジェニックマウスの作製に成功した。作製したマウスを用いて、麻酔下で匂い刺激を行ったところ、GFPを発現する嗅神経細胞やその神経軸索の収束先である糸球体において、匂いの濃度依存的なCa^<2+>応答を測定することに成功した。また、非麻酔下(自由行動下)のマウスにおいても、c-Fosタンパク質の発現誘導を指標に匂い応答を嗅覚一次中枢である嗅球において解析することができた(これらの成果はNeuron誌へ発表した。)c-Fosタンパク質の発現誘導を指標とした匂い応答の解析法は、これまでに一般的に用いられているCa^<2+>イメージングや、内因性シグナルイメージング法と比較して、より深部に位置する組織においても適応可能である。今後、c-Fosの発現誘導を指標に、より高次の脳嗅覚野における匂い応答を解析していく。
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Research Products
(1 results)