2007 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変マウスを用いた嗅覚の匂い情報処理機構の解析
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06J06779
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
堅田 明子 The Institute of Physical and Chemical Research, シナプス分子機構研究チーム, 特別研究員(PD)
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Keywords | 嗅覚受容体 / 匂い / GPCR / 分子認識 / 遺伝子改変マウス / 神経回路の可視化 / β-ガラクトシダーゼ / WGA |
Research Abstract |
匂い物質は、嗅神経細胞に発現する嗅覚受容体によって認識され、神経軸索の投射先である嗅球で創成される神経発火パターンの違いにより識別される。これまでに、研究代表者らのグループによってマウス嗅覚受容体;mOR-EGがオイゲノールという匂い物質を受容することが培養細胞発現系、またトランスジェニックマウスを用いたin vivoにおける匂い応答解析から明らかになっている。採用二年目である本年は、抹消レベルでの解析が進んだmOR-EGの高次神経回路網を可視化・解析することにより、嗅覚の高次匂い識別機能を明らかにすることを目指した。これまでに、mOR-EGの高次神経回路網を可視化する手段として、小麦胚芽レクチン(WGA)をmOR-EG発現神経でのみ選択的に発現する遺伝子改変マウスの作製に成功しており、脳嗅覚野における匂い応答をc-Fosタンパク質の発現誘導を指標に解析を進めている。WGAはトランスシナプティックに高次神経へと伝達されることが知られており、作製した遺伝子改変マウスではmOR-EGの高次神経回路網をWGA免疫染色によって特異的に可視化することが期待される。また、昨年までの解析によりオイゲノール刺激依存的にmOR-EGと神経連絡を行うことが期待される高次神経細胞において、c-Fosタンパク質発現誘導が認められることを示している。 これらの成果の他に、研究代表者が博士課程より解析を進めていた、嗅覚受容体と匂いリガンドにおける結合様式に関する成果をCurrent Computer-Aided Drug Design誌にまとめ、発表する予定となっている。
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Research Products
(2 results)