2006 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物細胞の形態形成を司る細胞骨格のダイナミクスとその制御機構の網羅的解析
Project/Area Number |
06J06798
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
米田 新 独立行政法人理化学研究所, 植物ゲノム機能研究チーム, 特別研究員(PD)
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Keywords | 形態形成 / 細胞骨格 / 細胞壁 / ケミカル・バイオロジー / ケミカル・ゲノミクス |
Research Abstract |
本高等植物細胞は、主に細胞膜直下に存在する表層微小管と、それにより配向が制御されている細胞壁内のセルロース微繊維により、その形が形成され維持されていると考えられている。しかし、表層微小管によるセルロース微繊維沈着方向の制御機構については、いまだ不明な点が多い。そこで、本研究では、表層微小管とセルロース合成酵素複合体の間に存在するであろうと推測されている未知の因子を探索することを目的とし、ケミカルゲノミクス的アプローチを採用した。まず、LATCAとSpectrumの2種類の化学物質ライブラリから、タバコ培養細胞BY-2の細胞形態に変化を引き起こす化学物質のスクリーニングを行った。細胞レベルでの解明を行うため、植物材料には、GFP-チューブリンとヒストン-tdTomatoを発現し、微小管と細胞核を生細胞内で可視化させたBY-2の形質転換株BY-GTHR4を用いた。1次・2次スクリーニングの結果、通常は円筒形に伸張するBY-2細胞が、特徴的に丸く膨れた細胞形態を示す化学物質がいくつか得られた。同様の細胞形態は、微小管破壊剤であるプロピザミドや、セルロース合成阻害剤であるDBNを加えた時にも見られたことから、得られた化学物質群は表層微小管-細胞壁セルロース微繊維形成に依存した植物細胞の形態形成機構のいずれかの段階を阻害していると推察される。さらに、3次スクリーニングにおいて、細胞壁のセルロース量計測と表層微小管の配向観察を行い、これらの化学物質群が関わる細胞形態形成過程の推測と分類を行った。その結果、表層微小管とセルロース合成酵素複合体の相互作用を担うリンカー・タンパク質を標的にしていると考えられる化学物質が数種選抜された。その内、特に低濃度でも強い反応性を示す「S001 D08」に着目した。今後標的因子の探索を通じて、高等植物細胞の形態形成メカニズムの解明に迫れると期待される。
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Research Products
(1 results)