2007 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物細胞の形態形成を司る細胞骨格のダイナミクスとその制御機構の網羅的解析
Project/Area Number |
06J06798
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
米田 新 The Institute of Physical and Chemical Research, 植物ゲノム機能研究チーム, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 形態形成 / 細胞骨格 / 細胞壁 / ケミカル・バイオロジー / ケミカル・ゲノミクス / 表層微小管 / セルロース微繊維 / 阻害剤 |
Research Abstract |
高等植物細胞は、主に細胞膜直下に存在する表層微小管と、それにより配向が制御されている細胞壁内のセルロース微繊維により、その形が形成され維持されていると考えられている。しかし、表層微小管によるセルロース微繊維沈着方向の制御機構については、いまだ不明な点が多い。そこで、本研究では、表層微小管とセルロース合成酵素複合体の間に存在するであろうと推測されている未知の因子を探索することを目的とし、ケミカル・ゲノミクス的アプローチを採用した。まず、2種類の化学物質ライブラリからなる約4,000種の化合物群から、タバコ培養細胞BY-2の細胞形態に変化を引き起こす化学物質のスクリーニングを行った。その結果、通常は円筒形に伸張するBY-2細胞が、特徴的に丸く膨れた細胞形態を示す候補化学物質が21種得られた。その内、特に低濃度でも強い生理活性を示す化合物は、タバコBY-2細胞およびシロイヌナズナ黄化芽生えの伸長生長を著しく抑制しかつ肥大させたことから、「コブトリン」と命名した。コブトリンは、タバコBY-2細胞プロトプラストからのセルロース微繊維再形成実験において、表層微小管と新規合成されたセルロース微繊維の配向の平行性を乱したことから、表層微小管によるセルロース微繊維沈着方向の制御機構に対する新規の阻害剤であると考えられる。このような生理作用を持つ阻害剤の報告は初めてであり、今後標的因子の探索を通じて、表層微小管の配向-セルロース微繊維の沈着方向制御に依存した高等植物細胞の形態形成メカニズムの解明に迫れると期待される。
|
Research Products
(7 results)