2008 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物細胞の形態形成を司る細胞骨格のダイナミクスとその制御機構の網羅的解析
Project/Area Number |
06J06798
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
米田 新 The Institute of Physical and Chemical Research, 植物ゲノム機能研究チーム, 特別研究員(PD)
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Keywords | 細胞骨格 / 表層微小管 / 細胞壁 / セルロース微繊維 / ペクチン / ケミカルバイオロジー |
Research Abstract |
高等植物細胞は、細胞膜直下の表層微小管と、それにより配向が制御されている細胞壁内のセルロース微繊維により、その形が作られ維持されていると考えられている。しかし、表層微小管によるセルロース微繊維沈着方向の制御機構については、いまだ不明な点が多い。我はこれまでに、ケミカルジェネティクスの手法により、表層微小管とセルロース微繊維の平行性を乱す新規阻害剤コブトリンを単離した。このコブトリンの標的因子を明らかにすることは、表層微小管とセルロース微繊維の平行性を制御する機構を解明する重要な足がかりになると期待される。そこで本年は、アフィニティ精製法を用いた生化学的なアプローチと、シロイヌナズナFOXライブラリからコブトリン抵抗性を示す過剰発現体のスクリーニングを行う遺伝学的手法とを用いて、コブトリンの標的因子の探索を行った。前者の生化学的な手法では、コブトリン・アフィニティカラムに特異的に結合するタンパク質が得られず、コブトリンの標的因子がタンパク質ではないことが示唆された。一方後者の遺伝学的スクリーニングでは、新規レクチン様タンパク質、ポリガラクツロナーゼ、ペクチンメチルエステラーゼの3種類が過剰発現によるコブトリン抵抗性因子として得られた。レクチンとは糖鎖結合たんぱく質の総称であり、後者2つは植物細胞壁の主要構成成分の1つであるペクチンの分解に関わる酵素であった。この結果から、コブトリンの標的因子はペクチン糖鎖であり、コブトリンはペクチンを安定化することが推測された。そしてこのことは、過度に安定化されたペクチン繊維はセルロース微繊維が正しい方向に沈着することを阻害し、セルロース微繊維の正しい配向にはペクチンの部分分解による緩化が必要であることを示唆していると考えられる。
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Research Products
(4 results)