2006 Fiscal Year Annual Research Report
花粉・胞子化石から見たローカル・グローバルスケールの白亜紀古植生
Project/Area Number |
06J06855
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
梅津 慶太 新潟大学, 大学院自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 花粉・胞子化石 / 白亜紀 / 古植生 / 久慈層群 |
Research Abstract |
岩手県北東部に分布する上部白亜系の久慈層群について,野外調査を行った.野外調査においては,堆積相解析および花粉化石分析用のサンプリングを行った.堆積相解析の結果,久慈層群には,9つの堆積相,および網状河川,蛇行河川,エスチュアリー,浅海の堆積システムで堆積したと解釈できる4つの堆積組相を認識した.また,これら堆積組相の上下側方分布およびシーケンス境界の認定から,久慈層群は4つの堆積シーケンス(DS1〜DS4)からなると考えられる.産出した被子植物花粉の産状から,久慈層群の年代の上限がカンパニアン前期であることがわかった.二翼型裸子植物花粉の増加によって特徴づけられる花粉・胞子化石群集の層序変化が,DS1からDS3のエスチュアリー堆積物およびDS2からDS3の浅海堆積物にみられた.これは,後背地の古植生において,二翼型花粉を生産する裸子植物針葉樹がDS1やDS2の堆積時に比べ,DS3の堆積時に多かったことを示唆する.一方,側方変化は,比較的湿潤な土壌が分布すると考えられる下流域においてシダ植物やスギ科の針葉樹が繁茂し,一方で,より排水の良い土壌が示唆される上流域に二翼型花粉を生産する針葉樹や被子植物がより多く生息していたという古植生分布が復元される.このような植生分布は,被子植物が上流域に多いことを除けば,現在の湿潤な暖温帯から亜熱帯の気候で見られる植生分布に類似している.このことは,現在の温暖湿潤な沿岸地域と類似した植生分布が,後期白亜紀のこの地域に一部成り立っていたことを示唆する. これらの成果の一部は石油技術協会誌に投稿し受理され,掲載が決定している.さらに,これらの内容を中心としたもう一編の論文を国際誌に投稿し現在査読中である.
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Research Products
(1 results)