2006 Fiscal Year Annual Research Report
組織形成を制御する細胞相互ネットワークにおける核膜タンパク質の分子機能
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06J06860
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
襲田 真一 新潟大学, 大学院自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Bタイプラミン / 器官形成 / 組織の肥大化 / エクジステロイドホルモン受容体 / ヒートショックタンパク質 |
Research Abstract |
これまでに、ラミンDm_0のノックアウトを作製し、組織を解析した結果、特に消化器系組織においてover-proliferation phenotypeを伴った組織の巨大化という異常を観察している。さらに、この組織形成異常はホルモンの機能異常であることが考えられたので、エクジステロイドホルモン受容体(EcR)の発現を特異的な抗体を用いて解析した結果、肥大した消化器系組織では、EcRのアイソフォームの一つであるEcR-B1の発現がサナギ後期で著しく減少していることを見い出している。消化器系組織の肥大化とEcR-B1の発現減少の関係を明らかにするため、EcR-B1を人為的に発現させ、レスキュー実験を行ったところ、ラミンDm_0 null変異体で見られた消化器官の肥大はwhiteの消化器系組織と近い状態まで回復させることができた。したがって、ラミンDm_0 null変異体の消化器系組織で見られた組織の巨大化はEcR-B1の発現減少により引き起こされていることを明らかにした。 ラミンDm_0 null変異体の発生における組織の状態をさらに詳細にマーカー抗体などを用いて研究を進めたところ、EcR-B1に加え、プレリミナリーの結果として、ヒートショックタンパク質(heat shock proteins;hsp)の一つであるhsp22タンパク質の発現が異常になっていることもみいだした。hspは、発生・分化および加齢特異的に発現が誘導されることや機能異常により神経組織の異常が誘導されることが報告されている。 したがって、Bタイプラミンは遺伝子発現には必須ではないが、遺伝子発現を適切に制御するために作用している可能性が考えられ、さらに、Bタイプラミンnull変異体で観察された多様な組織形成異常が、ラミン変異により引き起こされるヒト遺伝子疾患と関連している可能性が示された。
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Research Products
(2 results)