2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J06988
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
須磨 航介 Institute for Molecular Science, 光分子科学研究領域, 特別研究員(PD)
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Keywords | 酸素差分子 / 星間分子 / HOOOH / 高分解能光源 / STIRAP / ベンゼン錯体 / 分子錯体 / 短寿命分子 |
Research Abstract |
1. 酸素鎖分子の星間での探査 野辺山電波天文観測所の45m電波望遠鏡を用い、大質量星の形成領域であるW51で酸素鎖分子H_2O_3の探査を行った。本年度の観測では比較的好条件下での観測を行うことができ、H_2O_3の遷移と考えられる3本の遷移の観測に成功した。同じ領域で報告されている未同定線を加えて4本の遷移が観測されたことになる。これら4本の遷移は視線速度、線幅、強度についてもH_2O_3のラインと考えて矛盾しない。しかし、100GHzを超える高い領域での観測では十分なS/Nを稼ぐことができず、遷移の観測には至らなかった。今後はこの周波数帯を得意とする海外の望遠鏡での観測を試みる。 2. 短寿命分子種の高感度、高分解能分光手法の開発 本研究では高分解能光源を開発し、高感度の分光手法であるREMPI法と組み合わせることで、短寿命分子種の高分解能電子励起スペクトルの観測を可能とした。DPSSレーザー励起のcw-TiSからのシード光をYAGレーザー励起の色素アンプで増幅し、パルス状の赤外光を発生させ、さらに非線形結晶により三倍波に変換し、紫外光を得た。基本波である赤外光の線幅を測定したところ、約210MHzであり、フーリエ変換限界に近いパルス光が発生していることが分かった。これを用い、共鳴2光子イオン化により、試験的にベンゼンのS_1←S_0遷移の高分解能スペクトルの観測を行った。このとき、ベンゼンの単一の回転線の線幅は約350MHzであった。さらに、Ne-ベンゼン1:1錯体のS_1←S_0遷移の観測を行った。ベンゼン単体の信号に比べてかなり弱いものの十分なS/Nで信号を観測でき、クラスターに対しても十分な検出感度を持つことを確かめた。必要な測定プログラムなどの開発も行った。絶対波長との誤差が0.01cm-1での波長挿引が可能なシステムを構築した。
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