2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J07017
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Research Institution | Future University-Hakodate |
Principal Investigator |
國田 美穂子 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アクチン繊維 / 滑り運動 / 高さ方向の運動 |
Research Abstract |
本研究は,エバネッセント光を用いてアクチン繊維の三次元運動を計測し,その運動機構を解明することを目的としている. エバネッセント場中に存在する蛍光分子の輝度はガラス面から離れるにしたがって暗くなる.そこで,白金線に蛍光標識したアクチン繊維を吸着させてエバネッセント光で観察し,アクチン繊維の蛍光輝度とガラス面からの距離を対応付けた.測定で得られた蛍光輝度の測定曲線とエバネッセント光の理論曲線とは同様の曲線を示した. 上述したアクチン繊維の三次元位置の解析方法を利用して,in vitro運動アッセイ系で滑り運動するアクチン繊維の運動を観察・記録・解析した.アクチン繊維をローダミンで蛍光標識して,まだら標識アクチン繊維を準備した.このまだら標識アクチン繊維を用いて,in vitro運動アッセイ系におけるアクチン繊維の滑り運動を観察・記録した.蛍光標識されたアクチン繊維の標識部位の輝度分布を二次元正規分布でフィッティングし,標識部位の二次元平面上での位置を測定した.さらに,標識部位の輝度からアクチン繊維の高さを推定した. ATP非存在下でアクチン繊維が滑り運動していない時,アクチン繊維の高さの時間平均値は100〜400nmであった.また,アクチン繊維の高さが高くなるにしたがって,その標準偏差は大きくなった.この結果は,アクチン繊維の一部のみがヘビメロミオシン(HMM)と結合していることを示唆している.ATP存在下で滑り運動しているとき,アクチン繊維は150nm程度の高い位置で揺らいでいる状態と70nm程度の低い位置に引き込まれる状態が混在していた.ミオシンのガラス面からの距離は70nm程度であると推定されるので,アクチン繊維はHMMから離れて運動している可能性があることがわかった.
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