2006 Fiscal Year Annual Research Report
トランスジェニック・センサーマウスを用いた環境パトロールシステムの構築
Project/Area Number |
06J07041
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
河西 あゆみ 山梨大学, 大学院医学工学総合教育部, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ダイオキシン / トランスジェニックマウス / バイオアッセイ / SEAP / 芳香族炭化水素 / 喫煙 / たばこ |
Research Abstract |
1.トランスジェニックセンサーマウスの作製とその特性の解析 センサー配列DRE(ダイオキシン応答配列)の下流にレポータータンパクSEAPをコードする遺伝子を挿入した遺伝子構造を、ダイオキシン類に対し感受性の高いC57BL/6マウスの受精卵に注入し、トランスジェニックセンサーマウスを作製することに成功した。具体的にはPCR解析にて外来遺伝子導入マウスを選別し、得られたセンサーマウスの特性を検討した。即ちまず作製したセンサーマウスにダイオキシン(2,3,7,8-TCDD)を強制経口投与し、その後経時的に尾静脈から採血(10-20μl)を行い、5μlの血清サンプルを用いて化学発光のシステムにより血中のSEAP活性を測定した。その結果、ダイオキシンに対し高反応なトランスジェニックセンサーマウスの樹立が確認された。このマウスを用いて詳細なダイオキシン投与実験を行ない、ダイオキシン投与により血中SEAPレベルは高度な上昇がみられること、その活性上昇は3ヶ月程度持続することを明らかにし、またダイオキシンに関し検出限界曝露量を明らかにすることができた。 2.タバコ煙中有害化学物質を標的にしたセンサー細胞およびセンサーマウスによるモニタリングの試み センサー細胞・センサーマウスを用いた環境モニタリングの手始めとして、タバコ煙を対象とした有害化学物質のモニタリングを試みた。タバコ煙にはダイオキシン類やベンツピレンを初め、ダイオキシン受容体AhRを介してDREを活性化する有害化学物質が多数知られている。そこでまずセンサー細胞をもとにしたバイオアッセイ系を用い、タバコ煙抽出物のダイオキシン様活性(AhRの活性化能)を定量化するとともに、樹立したセンサーマウスをタバコ煙に曝露させ、定期的に血中SEAP活性を測定した。その結果、タバコ1本から生み出されるAhRアゴニスト活性の総量は2,3,7,8-TCDD換算で1本あたり約50ngと高濃度であった。また、センサーマウスにタバコ煙を受動的、能動的に吸入させ、血中のSEAP活性を検討したところ、どちらも血中SEAPの有意な上昇が観察された。以上の知見は、今年度CancerResに報告した。今後、センサーマウスを喫煙環境に設置・飼育し、有害物質摂取後の吸収率や代謝の問題を加味した総合的かつ継続的な空気汚染の評価を試みる予定である。
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Research Products
(3 results)