2006 Fiscal Year Annual Research Report
順応的資源管理におけるリアルオプションと最適制御による経済分析
Project/Area Number |
06J07056
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
小谷 浩示 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 順応的管理 / 外来種管理 / 不確実性 / 再生可能資源 |
Research Abstract |
初年度は、外来種管理の資源管理モデルの構築に注力した。分析手法は不確実性下での最適制御である。外来種問題は今や、大きな社会問題となっており、順応的資源管理がもっとも必要とされる。しかしながら、経済学的分析とそれに付随する資源管理戦略の研究は皆無であった。そこで、我々は外来種問題の根源となる政策的問題を取り上げ、個々に経済的分析を行った。 まずはじめに、外来種管理問題では、順応的に「根絶を目指すのか、諦めるのか」、そして「諦めた場合にどのように低密度で外来種を抑え込むか」を決定していかなければならない。にもかかわらず、そうした研究を行ったものはなかった。そこで、我々は上述の問いに答えるべく、Dynamic Economic Analysis on Invasive Species Management : Some Policy Implications of Catchability(投稿中)を仕上げた。 上記の論文の結果を受けて、更に我々は不確実性の要素を考慮し同様の分析を行った。考慮した不確実性は、外来種の自己増殖に付随する過程誤差と個体数推定値にはつきものの測定誤差の二つである。この研究の結果は、1.Adaptation of escapement levels to process uncertainty on invasive species management : The case of convex unit harvest costs(投稿予定)、2.Oplimal Programs on Invasive Species Management under Growth Uncertainty and Measurement Error(投稿中)、3.外来種管理における資源経済学的考察(印刷中)、として纏められた。これらの論文の革新的結果は、不確実性を考慮した外来種問題の最適管理戦略を導出したところにある。特に測定誤差に関する分析は、資源経済学の既存研究論文では2、3しかない。 上述した論文は何れも理論的な研究であったが、同時に現実の問題への示唆も与えうる。横浜国立大学松田研究室が事例として分析している外来種管理問題への応用研究も行った。分析した事例は、北海道のアライグマによる農業被害の問題である。この事例研究の結果は、Lessons from agricultural damage of raccoon problems at Hokkaido, Japan : Invasive species management in a sink and source system(投稿予定)として纏められた。
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Research Products
(1 results)