Research Abstract |
低エミッション,低燃費という点で注目されている天然ガスエンジンにおける高負荷高速運転時のノッキング回避のために,通常運転時には極力高い圧縮比で高効率に運転し,ノッキング発生域では吸気弁の遅閉じにより,正味の圧縮比を低下する圧縮比可変制御は有効な手段である,電子油圧可変動弁アクチュエータは,フィードバックスロットによる流体位置制御機構を有しており,センサレスで動弁のリフト量が制御でき,通常の機械式カムエンジンとは異なり,エンジンとは全く独立しているので,動弁のリフト・タイミング・開期間のすべての特性が自在に制御できる.今年度は,アクチュエータの高速化を目的として,ハードとソフト面で電子油圧制御システムの改良を行なった.前者では,パイロット弁を現行の2ポート形高速電磁弁から3ポート形に置き喚え,ソレノイドOFF時にコントロール室へ強制給油することで,閉じ速度の向上を図った.後者では,減衰力不足によるオーバーシュート防止のために用いていた機械式の摺動装置の代わりに,パイロット弁の開閉をマルチパルス法により細やかに制御することで,油圧による制動力が発生し,機械損失が少なく,より高速に運転するシステムを構築できた.従来のシステムでは開き速度と閉じ速度はトレードオフの関係であったが,3ポート形電磁弁でそれぞれを最高速度にすることで,最短開弁時間が24msから19msに短縮し,最高対応可能エンジン回転数が1670rpmから2100rpmに向上することができた.耐久性の観点からも,マルチパルス法により着座直前に動弁に逆向きの力をかけることで,着座速度を低下することができ,従来品と同程度の着座特性を確認した.性能試験の前に,2ポート形高速電磁弁を用いた一号機のアクチュエータで整合性が既に確認されているボンドグラフモデルにより,3ポート形電磁弁とマルチパルス法の効果の有用性を確かめられたので,効率的に作業を進めることができた.
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