2008 Fiscal Year Annual Research Report
脳磁計(MEG)を用いた知覚対象および知覚時刻の推定とその工学的応用
Project/Area Number |
06J07126
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
天野 薫 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | MEG / 知覚 / 運動 / 色 / 錯視 / 非侵襲脳計測 |
Research Abstract |
Motion induced spatial conflictと呼ばれる10Hzのillusory jitter知覚時のMEGを計測し,その際に知覚と対応する振動的脳活動であるアルファ波(10Hz)の活動が増大していることを見出した.100Hzまでの周波数帯の中で,jitterの知覚と相関して変化したのはアルファ帯の活動のみであり,脳内の振動現象と,同一周波数における知覚的な振動現象を対応付ける初めての研究である.この結果は視覚研究の一流紙(Journal of Vision)に掲載された.さらに無意識的な手の運動とMEG反応が強く相関することを示した論文を神経科学の一流紙(Journal of Neurophysiology)に発表した,また,運動視に関与するとされるhMT+のレチノトピー(網膜上の位置と皮質の対応関係)を明らかにした研究を行い,その結果を現在投稿中である. 視覚刺激の強度が同時性判断タスクに与える影響を検討した.このタスクにおいては,左視野に提示されたドットの色変化と右視野に提示されたコヒーレント運動のオンセットの相対的な時間関係を変化させた上で,両者が同時に知覚されたか否かを報告させた.その結果,刺激強度の減少に伴ってRTは大幅に変化するのとは対照的に,色変化刺激との同時性判断はほとんど影響を受けなかった.正確な同時性判断の基となる脳活動を明らかにするためにMEG計測を行った結果,MEG信号のオンセット時刻は刺激強度の影響を大きく受けなかったことから,同時性判断に脳活動のオンセット信号が用いられている可能性が示唆された.さらに,同時知覚の結果生じる脳活動を検討した結果,ガンマ帯域(30-60Hz)周辺の脳活動の関与が示唆された.これらの結果については,現在論文を準備中である.
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Research Products
(8 results)