2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J07269
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
田原 啓祐 大阪市立大学, 大学院経営学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 通信 / 交通 / 情報 / 郵便 / 公共性 / 経済史 / 日本近現代史 / ネットワーク |
Research Abstract |
本年度の研究テーマは、「戦前期地方商家における郵便利用の動向-兵庫県揖保郡土井勘次郎家の事例を中心として-」であり、商家の通信(書簡・葉書・新聞雑誌)を検討することにより、商家において郵便がどのように利用されていたのかを明らかにするとともに、土井家の通信内容から見える当家の家計・商況、地域経済の動き、日本経済の動向にも合わせて注目する。 当初、研究計画に従って研究を進めていたが、本来平成20年度の計画に組み込まれている、『日本近代郵便史』(藪内吉彦・山根伸洋と共著、明石書店より出版予定)の刊行計画が、共同執筆者との打合せの結果、執筆内容と出版計画が大幅に変更され、今年度より進められることとなった。この共著本は、通史編(時代順に全3部)、各論編(それぞれの執筆者が1本執筆)、史料編、年表で構成され、私は通史編の第3部(明治後期以降)と各論1本を担当することとなった。 そのため、平成18年度の研究計画に加え、修正が加えられた平成20年度の研究計画を同時並行で進めることとなり、平成18年度の研究計画が少々遅れる結果となった。 ただし、平成18年度の研究成果は、この共著本の各論として組み込まれる予定で、共同執筆者の進捗状況及び出版社の刊行事情等の問題もあるが、順調に進めば平成19年度に発表される予定である。 一方で、平成19年度の研究計画である、「明治期日本における近代郵便事業の展開と在来技術・移植技術」の準備として、論文「明治期日本における郵便事業の成長と逓送・集配技術の発達」『科学史研究』(日本科学史学会)第45巻(No.238),2006年、を刊行することができた。本論文では、郵便事業における「技術」に注目して、明治期日本の郵便事業の整備・普及の要因を考察した。宿駅制度、飛脚業者が通信・運輸を担った江戸時代、宿駅・飛脚と欧米の近代郵便制度のノウハウ、換言すれば通信事業における在来技術・移植技術という2つの要素が、日本の郵便制度として調整され再構成される明治期郵便事業の第1段階、鉄道という近代輸送手段の普及に伴い、「幹線郵便ネットワーク」において鉄道逓送化が進んだ第2段階を比較することによって、移植技術の導入、在来技術の再編成、両技術の調整過程を明らかにした。
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Research Products
(2 results)