2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J07269
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
田原 啓祐 Osaka City University, 大学院・経営学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 通信 / 郵便(史) / 情報 / 交通(史) / 公共性 / 経済史 / 日本近現代史 / ネットワーク |
Research Abstract |
本年度の研究テーマは、郵便事業における在来技術・移植(近代)技術に注目して、明治期日本の郵便事業の整備・普及の要因を考察することであった。研究の手順として、まず郵便事業の在来技術の要素に注目し、宿駅制度と飛脚業者のシステムと近代郵便制度の比較検討を行う。この検討については、先行研究を再検討するとともに、実際に郵便創業に従事した前島密の文献・回顧録や、逓信総合博物館に所蔵されている郵便創業期の史料に依拠しながら、どのようなプロセスで近世の通信システム(宿駅制度や飛脚業者)が近代郵便制度に組み込まれ、調整されていったかについて明らかにしていく。 本研究の研究成果として、『日本近代郵便史』(藪内吉彦と共著、明石書店より出版予定)が、共同執筆者の進捗状況及び出版社の刊行事情等の問題もあるが、順調に進めば次年度(平成20年度)内に刊行される予定である。この共著本は、通史編(時代順に全5章)、史料編、年表で構成され、私は通史編の第4章、第5章(明治前期及び後期以降)を担当している。また、本年度の研究テーマに関連する研究として、田原啓祐「『早飛脚道中記』について」(『郵便史研究』(郵便史研究会)第24号、2007年10月)を発表した。近世と近代移行期の、特に陸上交通史研究の動向に注目すると、主に近代史研究の立場から、江戸時代の飛脚制度と郵便制度の関連、あるいは飛脚制度と近代の運輸業者との関連について論じられてきた。しかしながら、飛脚の発生過程や、飛脚宰領や通日雇など実際輸送に従事した者たちの実態など、いまだ明らかにされていない部分も多く残されている。そこで飛脚研究、さらには郵便史研究の前進のためにも、大阪市立大学学術情報総合センターに所蔵されている日本経済史資料に含まれる「早飛脚道中記」を紹介することは十分に意義のあることと考え、史料の内容を概説し、史料本文を翻刻した。
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Research Products
(2 results)