2007 Fiscal Year Annual Research Report
高品質半導体ナノ結晶及びキャビティ構造の作製と高効率な量子もつれ光子の生成・制御
Project/Area Number |
06J07280
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
大畠 悟郎 Osaka Prefecture University, 理学研究科, 助教
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Keywords | 光物性 / 量子光学 / 量子もつれ / 励起子 / 励起子分子 / ポラリトン |
Research Abstract |
CuCl等の励起子分子活性媒質における微小共振器構造を用いた量子もつれ光子生成の実現に向けて本年度は以下の成果を上げた. 1.前年度に引き続きバルクCuCl微小共振器構造の作製と特性評価を行った.活性層であるCuClの膜厚を系統的に変化させたところ,微小共振器における光と励起子の相互作用の強さを示すRabi分裂の値を約10meV〜100meVまで変化させることに成功した.これは,共振器において光と物質の相互作用の強さを一桁程度の範囲で制御したことに対応し,少なくとも無機半導体では世界で初めての成果であるといえる.またこの結果は,量子もつれ光子生成に必要な条件に人為的に一致させることが出来る事に対応し,CuClを用いた共振器試料の作製についてはほぼ準備が整ったといえる. 2.本年度はZnOの微小共振器の作製に成功した.ZnOは現時点で考えられる実用(室温動作など)に耐えうる可能性のある唯一の材料である.作製したZnO微小共振器におけるRabi分裂は約80meVであり,CuClと並ぶ非常に大きな値で,明確にこのような結果を得たのは今回が初めての例である.ZnOを用いた共振器で量子もつれ光子の生成が出来れば,半導体を使った量子もつれ光子源としては,実用に大きく前進するブレイクスルーとなるはずである. 3.これまで,「半導体微小共振器を用いた量子もつれ光子の生成」についての増強効果の理論は原理的なものであり,そこから得られる実験条件は実現するには非常に繊細で高度な技術が必要であった.今回,理論家と合同で実際の実験に耐えうる新たな物理的条件(位相整合条件)を考案した.この新提案のスキームでは実験条件が格段に容易になり,現実に我々の所有する実験機材での実現が期待できる. 以上,本研究の最終目的へ向けて複合的に大きく前進できたと考えられる.
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Research Products
(7 results)