2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規なβ-ジケチミネート配位子を用いた金属酵素機能モデルの開発と応用
Project/Area Number |
06J07326
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
下川 千寿 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | β-ジケチミネート配位子 / 金属酵素機能モデル / 分子状酸素の活性化 / 遷移金属-活性酸素錯体 / 銅一価錯体 / 銅二価錯体 / pMMO |
Research Abstract |
本研究は、生物無機化学や錯体化学の分野において最近特に注目を集めているβ-ジケチミネート遷移金属錯体を用いて、金属錯体の構造や反応性の精密制御ならびに金属酵素活性中心モデルの開発を目指したものである。モノアニオン性の二座配位子であるβ-ジケチミネート配位子は、その高い配位能力から様々な金属錯体に応用可能であり、高分子合成触媒の開発などに応用されてきた。また、我々もこれまでに、様々なβ-ジケチミネート金属錯体を合成し、その構造と物性および反応性に関して系統的に検討を加えてきた。それらの結果を踏まえた上で、本研究では、各種置換基を導入した一連のβ-ジケチミネート配位子を用いて銅(I)および銅(II)錯体を合成し、導入した置換基が金属中心の構造や物性に及ぼす効果について系統的に検討を行った。 β-ジケチミネート配位子の炭素骨格上や窒素上に各種置換基を導入した配位子を用いて、銅(I)錯体を合成しその構造や物性について系統的に検討を行った結果、不均化反応や、新規なポリマー錯体ならびに大環状超分子錯体の合成を見いだした。(C.Shimokawa et al., Bull.Chem.Soc.Jpn. 2006,76,118-125)また、β-ジケチミネート銅(II)錯体については、それを触媒とする過酸化水素によるアルカンの水酸化反応について検討した。その結果、水酸化反応が効率よく進行することを見いだしたので、β-ジケチミネート配位子の置換基効果などについて詳細に検討し、得られた酸化活性種の構造や生成反応機構、および反応性などについて検討した。これらの結果は、銅含有一原子酸素添加酵素であるpMMO(可溶性メタンモノオキシゲナーゼ)の反応機構の解明に対して重要な知見を与えた。(C.Shimokawa et al., J.Inorg.Biochem. 2006,100,1118-1127)
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Research Products
(2 results)