2006 Fiscal Year Annual Research Report
環太平洋北部地域における更新世から完新世移行期の人類適応行動の考古学的比較研究
Project/Area Number |
06J07385
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
橋詰 潤 首都大学東京, 人文科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 比較考古学 / 両面調整石器 / 更新世〜完新世移行期 / 環太平洋北部 / 人類適応行動 / 縄文草創期 / パレオインディアン / オシポフカ |
Research Abstract |
本年度は研究上必要となる基礎作業実施のための年次として位置付け、以下の項目を実施した。 1,7月〜8月に北米パレオインディアン期の遺跡発掘への調査参加および、既発掘のパレオインディアン期遺跡出土資料の調査を実施した。滞在期間の前半は、ワイオミング大学ジョージ・C・フリソン考古学人類学研究所による、ロッキー山脈東縁部における岩陰遺跡(Two Moon遺跡、BA Cave遺跡)の調査に参加した。そして、滞在の後半には上記研究所において、パレオインディアン期の居住地遺跡(Hell Gap遺跡)出土資料の調査を実施した。これらの調査を通じて、日本列島との比較資料の蓄積と、比較のためのデータの整備を進めた。 2,日本列島およびアムール下流域出土資料の資料調査を実施し、比較作業実施のための基礎データの作成をおこなった。本研究は広範囲の資料を同一基準で比較するため、不足データは資料の実見が不可欠である。そのため、各地の資料を直接実見し、分析をおこなった。資料実見の実施地域は、日本列島では南関東、長野県、新潟県などで、アムール川下流域においてはロシア共和国ハバロフスク州などである。特に新潟県小瀬ヶ沢洞窟出土資料に関しては、3週間に及ぶ再検討作業を実施した。 3,日本列島、アムール下流域、北米における石器群の様相について文献資料の収集を含む通時的な資料の収集と分析を実施し、基礎データの充実を図った。特に、各地域間での石器群を構成する器種の消長の違いについて考察するために、本研究の対象石器群と時期を前後する石器群の分析をおこなった。分析をおこなった主な遺跡は、日本列島では新潟県真人原遺跡(旧石器時代)、アムール下流域ではノヴォトロツコエ12遺跡(新石器時代)やニジノタンボフカエ遺跡群(初期鉄器時代)などである。 4,上記作業を整理し、次年度へとつなげるため、現在までの分析の成果をまとめた論文および学会発表を作成および準備した。これらは順次、発表、出版される予定である。
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