2006 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアと葉緑体の分裂制御を中心とする未知の分子ネットワークの解明
Project/Area Number |
06J07472
|
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
西田 敬二 立教大学, 理学部, 特別研究員(PD)
|
Keywords | ミトコンドリア / 葉緑体 / ダイナミン / FtsZ / 分裂 / 融合 / 紅藻 |
Research Abstract |
ミトコンドリアや葉緑体はバクテリアを起源とし独自のゲノムを持つためゼロから作り出すことができず分裂によってのみその数を維持できる。また呼吸や光合成をはじめとする重要な細胞機能を担っているので常にその数を適正に保つことも求められている。しかし細胞が実際にどのようにその分裂を制御しているのかという分子メカニズムは全く明らかではない。我々はこの問題に対し最も単純なオルガネラ組成を持ちそれらの分裂が細胞周期とともに同調化できる原始紅藻Cyanidioschyzon merolae(シゾン)を用いることとした。これまでの研究でシゾンの主要なミトコンドリア分裂因子であるダイナミン(Dnm1)を同定し、また分裂は細胞周期のM期に完了することを示したが、本年度においてはM期に細胞周期を停止させて分裂装置を蓄積させ、Dnm1を生化学的指標として分別沈殿と密度勾配遠心によりミトコンドリア分裂装置を高度に濃縮した分画を得ることに成功した。その分画には機能未知のタンパク質CMR185CがDnm1とともに存在することが質量分析によって分かり、アミノ酸配列から中央にCoiled-coil構造、そしてC末にWD40-repeatの存在が予想された。特異的抗体を作成してその細胞内局在をみるとCMR185Cは分裂初期からミトコンドリア中央にベルトを形成していた。さらにM期特異的にリン酸化されていること、そしてM期においてベルト状から一つの点に凝集した状態に変化すると同時にDnm1と共局在すること、またin vitroにおいて脱リン酸化すると沈降係数が小さくなることを見出した。これはCMR185Cによって構成される巨大分子が構造変化を起こしていることを示唆している。これらよりCMR185Cをミトコンドリア分裂装置の主要構成要素としてMda1(Mitochondrial division apparatus 1)と命名した。
|
Research Products
(3 results)