2006 Fiscal Year Annual Research Report
病原性大腸菌O157株特異的な非翻訳型RNAの同定と病原性発現における機能の解析
Project/Area Number |
06J07473
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
相馬 亜希子 立教大学, 理学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 病原性大腸菌O157株 / ncRNA / tRNA |
Research Abstract |
本研究では以下の2つの点を目的としている。 1)病原性大腸菌O157株特異的なtRNA(IRR)の病原性発現における役割の解明 2)病原性大腸菌O157株特異的なncRNAの同定と病原性発現における機能解析 これまでに、 1)O157株のIRR遺伝子と、それに対応するマイナーコドンを連続してつなげたβ-ガラクトシダーゼ遺伝子を、非病原性大腸菌に導入し、IRRが対応するマイナーコドンの翻訳に与える影響を調べた。 その結果、あるコドンではIRRの存在下では対応するマイナーコドンを含むβ-ガラクトシダーゼ遺伝子の発現量が上昇し、IRRが翻訳に積極的に寄与していることが示唆された。現在、O157株のゲノム上の7コピーIRR遺伝子の全てを欠損させた株の構築をすすめている。K12株及びO157株を用いたin vivo及びin vitroの実験を行った結果、病原性発現とIRRの発現には特に関連性が見られなかった。今後はより良い実験系の開発、条件検討などが必要であると考えられる。 2)これまでに同定したいくつかのncRNAの1次構造を決定した。また、ncRNAの発現を様々な培養条件下で観察した結果、病原性遺伝子の発現を誘発するような条件下で発現が促進されることが分かった。 さらに、同定したncRNA遺伝子をクローニングし、O157株に導入、過剰発現を行った結果、ある病原性関連遺伝子の発現が促進、または抑制されていることが分かった。一方、遺伝子が1コピーであるncRNAについては欠損株を作製し、その表現型を観察したが、特に変化は見られなかった。 以上の結果は、申請者が同定したncRNAがO157株の病原性発現に深く関与していることを示している。今後はどのような機構によって、ncRNAが病原性発現に関与しているかを調べていく予定である。具体的にはncRNAに結合するタンパク質の検索を行う。
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Research Products
(1 results)